Up "アイヌ"予算の額と項目 作成: 2016-11-07
更新: 2016-11-08


    アイヌは,終焉した存在である。
    いま「アイヌ」を自称する者は,アイヌではない。
    いま「アイヌ」を自称することは,「アイヌ」の僭称である。
    本論考は,「アイヌ」僭称者を,"アイヌ" と表現してきた。

    「アイヌ関連予算」は,"アイヌ"予算である。
    そして,"アイヌ" の存在の意味は,"アイヌ"予算である。
    実際,"アイヌ"予算があることで,"アイヌ" が顧みられる存在になる。
    "アイヌ"予算が,"アイヌ" という存り方を定めている。

    そこで,"アイヌ"予算を捉えることが,"アイヌ" を捉えることである

    "アイヌ"予算とは,どのようなものか。
    先ずは,"アイヌ"予算の額と項目の概観から。
    以下,任意に文書を引く:


    A. アイヌ関連概算要求
    (「アイヌ政策の概要(平成28 年度予算概算要求額)について」
      内閣官房アイヌ総合政策室, 2015-08-31)
    平成28 年度アイヌ政策関係概算要求額合計 13億7200万
    1.「民族共生の象徴となる空間」の具体化 5億4500万
    ○博物館の整備及び運営準備
    ・国立のアイヌ文化博物館(仮称)の建築設計、
     展示設計等
    文部科学省 3億5700万
    ○公園の整備
    ・国立の民族共生公園(仮称)の設計等の実施
    国土交通省 9000万
    ○アイヌ遺骨等の保管施設の整備に向けた調査等
    ・施設整備予定地の調査・測量、土地造成設計等
    国土交通省 5000万
    ○体験交流等活動に関する調査
    ・アイヌの伝統等に係る体験交流等活動プログラム
     の取りまとめ
    国土交通省 2400万
    ○情報発信方策に関する調査
    ・海外に向けた象徴空間及びアイヌ文化等に関する
     情報発信方策の取りまとめ
    国土交通省 1500万
    ○大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた
     手続等に関する調査研究
    ・大学が保管するアイヌ遺骨の返還に向けた
     手続等の在り方に係る調査研究、検討を実施。
    文部科学省 900万
    2. アイヌ文化の振興、普及啓発 3億3800万
    ○アイヌ文化財団への補助等
    ・アイヌ文化振興法に基づき、アイヌ文化の振興及び
     アイヌの伝統等に関する普及啓発を図るため、
     指定法人であるアイヌ文化財団に対して補助金を交付。
      交付先 : アイヌ文化振興・研究推進機構
    国土交通省
    文部科学省
    3億2300万
    ○危機的な状況にある言語・方言の活性化・調査研究
    ・アイヌ語の保存・継承に必要なアーカイブ化事業
    文部科学省 1500万
    3. アイヌ生活向上 4億5800万
    (1) 北海道内施策
      アイヌの人々の社会的・経済的な地位の向上を図るため、
      北海道が実施するアイヌ生活向上関連施策の推進を支援。
    ○修学の支援
     (高校生、大学生等に対する奨学金等)
      補助先 : 北海道
    文部科学省 1億0500万
    ○雇用・生活の安定
     (職業相談等の就職支援、生活館の運営等)
      「職業訓練受講奨励/支度金」補助先 : 北海道
      「生活館運営費等」補助先 : 北海道, 札幌市, 旭川市
      「地方改善施設整備費」補助先 : 北海道, 市町村
    厚生労働省 1億2800万
    ○農林漁業の振興
     (経営近代化施設の整備等に対する補助)
      補助先 : 北海道
    農林水産省 2億1700万
    ○中小企業の産業振興
     (民工芸品展示会、研修会開催等に対する補助)
      補助先 : 北海道アイヌ協会
    経済産業省 700万
    ○生活環境の改善
     (住宅新築資金等の貸付事業に対する支援)
      交付先 : 北海道
    国土交通省
    (2) 全国的見地からの施策
    ○修学の支援
     (大学生等に対する奨学金)
    文部科学省
    ○生活の安定
     (生活相談)
    厚生労働省
    4. その他 3100万
    ○アイヌの人々の人権擁護の観点からの啓発
    ・アイヌの人々に対する偏見や差別をなくすため、
     インターネットのバナー広告を活用し、
     アイヌの人々に対する国民理解を促進。
    法務省 400万
    ○アイヌ政策推進会議の開催等に係る経費
    ・アイヌ政策推進会議の開催等により、
     総合的・効果的なアイヌ政策を推進。
    内閣官房 2700万
    ○北海道大学におけるアイヌ・先住民との文化的共生
     に関する総合的・実践的研究
    ・北海道大学において、アイヌ・先住民に関する総合的・
     実践的研究を実施。
    文部科学省
    ○標識等におけるアイヌ語地名や地名由来の表記促進
    ・河川名標識や国立公園内の標識等において、
     アイヌ語地名や地名由来の表記を促進。
    国土交通省
    環境省


    B. 北海道のアイヌ関係事業支出
    (「平成28年度予算 各部施策の概要」)
    環境生活部施策
      安心で心豊かな北海道ライフスタイル
        人々が互いに尊重しあう社会づくり
    アイヌ文化振興・研究推進機構事業費補助金
     補助先 : アイヌ文化振興・研究推進機構
    3億1778万円
    アイヌ高等学校等進学奨励費 1億9579万円
    アイヌ協会補助金
     補助先 : アイヌ協会
    4005万円
    教育施策
      北海道らしい生涯学習社会の実現
        文化財の保存・活用
    アイヌ文化保存対策費 1499万円


    C. 札幌市のアイヌ関係事業支出
    (「平成28年度 アイヌ施策課実施事業概要」)
    施策目標1 市民理解の促進 1億4839万円
    推進施策 (1) 伝統文化の啓発活動の推進 1830万円
    1. アイヌ文化体験講座の実施   157万円
    2. アイヌ文化交流センターイベントの実施 67万円
    3. 小中高校生団体験プログラムの実施 574万円
    4. 公共空間を利用した情報発信 103万円
    5. 市民参加によるアイヌアートモニュメント
     の制作
    120万円
    6. アイヌアートモニュメントの継続設置 32万円
    7. インカルシペ・アイヌ民族文化祭への
     補助
    94万円
    8. 札幌アイヌ協会が実施する各種事業への
     補助
    120万円
    9. アイヌ文化を感じられる空間の整備 550万円
    10.イランカラプテキャンペーンの推進  
    推進施策 (2) 教育等による市民理解の促進
    1. 市新任課長研修の実施 13万円
    2. 市新採用職員研修の実施  
    3. 市転任職員研修の実施  
    施策目標2 伝統文化の保存・継承・振興
    推進施策 (1) アイヌ民族の歴史を尊重する施策の推進 5736万円
     
    推進施策 (2) 伝統文化活動の推進
    1. 札幌市アイヌ文化交流センターの運営 5226万円
    2. イオル事業運営に対する協力 510万円
    施策目標3 生活関連施策の推進
    推進施策 (1) 産業振興等の推進 6326万円
    1. 工芸品の振興検討事業  
    推進施策 (2) 生活環境等の推進
    1. 住宅新築資金等の貸付 4050万円
    2. アイヌ生活相談員の配置 598万円
    3. アイヌ民族の児童・生徒に対する学習支援 28万円
    4. 共同利用館の改修 1650万円
    その他
    1. 国のアイヌ政策推進会議への参加   946万円
    2. 札幌市アイヌ施策推進委員会の運営 82万円


    D. 旭川市
      (近いうちに作成)


    E. 白老町
      (近いうちに作成)


    F. 平取町のアイヌ関係事業支出
    (「平成26年度予算概要書」)
    1. 教育・文化の推進
    3) イオルの再生・
      アイヌ文化・
      文化財保護
    27. アイヌ文化体験学習事業 50万円 1億4007万円
    28.イオル再生整備推進事業 1132万円
    29. 文化的景観保存活用事業 1440万円
    30. アイヌ文化博物館シンポジウム等事業 100万円
    31. アイヌ文化環境保全調査事業 3910万円
    32. アイヌ文化情報センター運営事業 602万円
    33. 二風谷アイヌ文化博物館屋外展示施設整備事業 100万円
    34. 二風谷地区再整備計画策定事業 300万円
    35. アイヌ文化振興推進地域資源活用事業 6203万円
    36. 沙流川歴史館活動事業 170万円
    2. 保健・医療・介護・福祉の向上
    5) アイヌ福祉・地域福祉活動
    61. アイヌ住宅改良資金貸付事 770万円


    G. アイヌ文化振興・研究推進機構の補助金収入と事業支出
    補助金収入
    (「平成27年度 決算報告書」)
    補助金 国庫補助金 国土交通省 1億0772万円 3億1120万円 6億2241万円
    文化庁 2億0348万円
    地方公共団体補助金
     (道 補助金)
    北海道 3億1120万円

    事業支出
    (「平成27年度 事業報告書 (各種助成事業等の実績)」)
    研究出版 文化関連
    研究助成
    一般 36万円 48万円 863万円
    奨励 12万円
    出版 社会関連
    出版助成
    376万円 815万円
    文化関連
    出版助成
    439万円
    伝統工芸複製助成 1255万円
    風俗慣習に関する伝承事業 143万円
    国内文化交流助成 道内開催分 3203万円 4236万円
    道外開催分 1033万円
    国際文化交流助成 派遣 399万円 570万円
    招聘 171万円
    伝統工芸展示・公開助成 181万円
    博物館等
    アイヌ資料展示・公開等
    助成
    常設展示 886万円 951万円
    企画展示 21万円
    体験事業 45万円
    アドバイザー派遣 ?円
    公開講座
    (アイヌ文化交流センター (キロロアン))
    ?円
    1億6400万 
    +?円


    H. 北海道アイヌ協会
    補助金収入
    (「平成28年度収支予算書内訳表 (資金ベース)」)
    補助金等収入 道補助金収入 4950万5千円 7672万9千円
    国庫補助金収入
     補助元 : 経済産業省
    716万5千円
    受託収入 1570万4千円
    助成金収入 356万0千円
    協賛金収入 79万5千円

    事業内容 (内訳) の公開無し。

     註 : アイヌ協会には,体質としての<内向き>を見てとれる。
    過去に以下のようなことも起こっているが,それらを含めてアイヌ協会であると受けとめるべきである。
     参考 :
    毎日新聞 2009-07-01 /北海道
    道:アイヌ協会札幌支部に指導 委託事業透明化へ
     道が北海道アイヌ協会札幌支部に委託している職業訓練事業について,道が立入検査した結果,(1) 収支精算書と支出証拠書類の一部が整合していない (2) 道に所有権があるはずの職業訓練生の実習作品が売却されていた──ことがわかった。 道は運営を透明化するよう指導する方針。
     30日の道議会予算特別委員会で自民党・道民会議の小野寺秀氏(帯広市)が指摘した。 アイヌ民族の求職者に対する職業訓練は, 道立札幌高等技術専門学院が委託している。 道は外部から「不適正な運営が行われている」との情報を受け6月11日、協会本部と支部を検査した。
    毎日新聞 2009-11-20 /北海道
    道アイヌ協会:不適切会計が続発 釧路支部に立ち入り調査
     ◇支援拡充前に改革を
     北海道アイヌ協会(加藤忠理事長)や同協会支部が実施する国や道の委託事業をめぐり、不適切な会計処理などが相次いで発覚している。19日は、助成金を過大請求している疑いがあるなどとして道が、道アイヌ協会釧路支部に緊急の立ち入り調査を実施した。今年7月にまとまった政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書を受け、アイヌへの生活支援策などが拡充される見通しだが、道議会内には「全国に支援策が拡充されれば、(現体制では)混乱する恐れがある」などと指摘する声も出ている。
     これまでに不適切な会計処理や不透明な事業運営などが道議会で指摘されたのは道アイヌ協会のほか、札幌▽釧路▽羅臼の同協会支部と釧路市のアイヌ文化団体。国や道、財団法人「アイヌ文化振興・研究推進機構」(札幌市)からの委託事業で不適切な会計処理などが指摘されているほか、羅臼支部では不自然な会員数の増減があるなどとして、生活支援策の受益者となるアイヌの個人認定のあり方が問題になった。
     道アイヌ協会をめぐっては「民俗文化財保存・伝承活動事業」で、無料の会場で講座を開催したにもかかわらず、会場経費を計上するなど不適切な会計処理の疑いが指摘されている。このほか、道の修学資金等貸付制度は07年度までに貸し付けを受けた986人24億9000万円のうち21億円が返還免除になっている。免除規定が幅広く貸し付けの大半が返還されない状況に、道は返還を前提とする制度に変更する方針を示している。
     これらの問題を道議会で追及している自民党・道民会議の小野寺秀氏(帯広市)は「(現在の委託事業は)一部のアイヌだけが得をする仕組みになっている。多くのアイヌの人たちのためになる政策に戻す必要がある」と指摘。また、同日立ち入り調査を受けた道アイヌ協会釧路支部は「ノーコメント」と話した。