Up 貝澤正 : 文革中国に感化される 作成: 2017-03-17
更新: 2017-03-19


「北海道アイヌ中国訪問団」(1974)

      貝澤正 (1974), p.4
     ところで、少しだけ申し添えたいことは、私は中国の新しい社会への息吹きを全身に感じたことです。 日本と余りにも違った社会で、しかも短い旅行者の批評はひかえたいと思いますが、人間の知恵を正しい方法で人類の幸福の為に働かせているということです。
    子供から女性・老人・身障者まで、明るく常に笑顔を失わず、私達に接してくれました。 誰もが手をさしのべて堅い握手を交す。 みんなが同じ人間なのだという親近感が湧いて来ました。
    それが何故同じ日本人だといわれている人との間にはできないのだろうか。 中国では、服装も生活も労働もみな同じです。 それに反して、自由社会ではなんと不自由な暮しを強いられているかということでした。

      同上, p.103
    中国人民は、この山を取り除くべくスコップを握り、ツルハシを振り上げているのだ。 我々の流す汗は新しい社会を建設する為だと自信と誇りをもっている。 中国では、体に汗して働く者が政治と経済を動かすカであり、国家の主人公であると自負している。
     子供、老人、女子、身障者、だれもが健康で明るく美しい目を輝かせている。 親しみをこめた柔らかい言葉で話しかけ、常に笑顔を忘れない。
    ‥‥‥
    中国では既に食糧は自給自足でき、備蓄もして尚余って輸出をしている。 それでもどんどん農地を拡大して食糧の増産を進めている。
    「中国の農村がうらやましい」と言ったら、案内の通訳の先生が早速「あなた方は国家の主人公ではないですか、農村を良くするのも悪くするのもあなた方農民ではないですか」と言われ、至極もっともな意見だと思ったが、無力な私にはどうしょうもない。
    ただ言えることは、私達の隣りに八億人もの仲間があり、美味しい物を腹一杯食うことと働くことの素晴らしさを知り得たことです。

      小川隆吉 (2015), p.135.
     俺は貝沢さんに理事長になって欲しいと思っていた。 貝沢さんは徹底したアイヌ精神の持ち主だったからだ。
    特に中国に視察に行ってきてからが、言うことやすることに迫力が加わった。 モンゴルだとかの少数民族と交流してきたんだ。
    旧土人保護法に対する批判が鋭くて徹底していた。



    引用文献
    • 貝澤正 (1974) : 北海道アイヌ中国訪問団『北海道アイヌ中国訪問団記』「はじめに」「広州での入院の思い出」,1974.
    • 小川隆吉 (2015) :『おれのウチャクマ』, 寿郎社, 2015.