Up デブリ処理は「石棺」 : 要旨 作成: 2023-08-25
更新: 2023-08-25


    原発事故を起こしたら,「完全に片付ける」を宣言することになる。
    できないことがわかっていても,これを宣言することになる。
    こうするのは,ひとをなだめるためである。
    実際ひとは,物事がそのように進行するのだと信じる。


    福島第一原発事故は,廃炉の中長期ロードマップが,つぎのように示された:
    • 第1期・使用済み核燃料の取り出し開始までの期間(2年以内)
    • 第2期・燃料デブリ取り出し開始までの期間(2021年12月)
    • 第3期・廃炉措置の終了までの期間(事故の年から30〜40年後)

    いまは 2023年8月だが,デブリが取り出せるような状況ではまったくない。
    そもそも,デブリの取り出しは,はじめからできることではないのである。
    実際,どんなロボットが,グチャグチャになった構造物の隙間を通り抜け,瓦礫で凸凹の面を動きまわり,デブリをこそげ取り,そして持ち帰るというのか。


    デブリは,石棺で封じるしかない。
    それは最初からわかっている。
    しかし言えることではないから,ひとの方からこれを言うようになる状況を時間をかけてつくっていく。

    いまひとは,「燃料デブリ取り出し開始までの期間 (2021年12月)」がどんどん過ぎていくのを見させられている。
    「石棺」が公言されるようになるのは,目前である。


    石棺でデブリを封じ込めることで,デブリに水をかけ続けることが終わる。
    これで,放射能汚染水が地下水に流れ込む量が,かなり減る。
    そしてこの度は「放射能汚染水海洋放出」を突破したので,「薄めれば安全」をこの先ずっと使っていける。

    こうして,福島第一原発は,石棺の形で遺っていくことになる。
    そして,放射能汚染水海洋放出の継続が,「原発事故は終わっていない」を示す。
    この意味を込めて,それはホモサピエンスの特別なモニュメントとして遺るのである。