Up 地下施設が津波で埋まるのにかかる時間 作成: 2023-11-16
更新: 2023-11-16


    津波の陸上での速さは,「秒速8m,時速にして約30km」と言われている。
    いま,防潮堤を越えた津波が,高さ1m,時速30km (秒速8m) で押し寄せてくるとする。
    これは,断面 \(1m^2 \) あたり 毎秒 \( 8 m^3 \) の水が流れるということ。

    この水が建造物の入口に流れ込むときの「\(1m^2 \) あたり 毎秒 \( v\ m^3 \)」の \( v \) は,一般に上の 8 より大きくなる。
    水流が狭められることで,速度が増すからである。


    考察1 : 首都地下調節池
      東京都「豪雨から都民の命と暮らしを守る調節池」.から引用
    東京都では、環状七号線の地下トンネルとして有名な「神田川・環状七号線地下調節池」をはじめ、12河川で28箇所の調節池を整備しています。
    28箇所の総貯留量は約256万立方メートルで、25メートルプール約8,500杯分に相当します。

川に沿って設置された堰から調整池へ流入する様子

    調節池1箇の堰の平均幅を \( 20 m \) とする。
    津波が堰を越えて調節池に流れ込むときのその高さを \(1m \) とし,速度を
      \(1m^2 \) あたり 毎秒 \(10 m^3 \)
    とする。
    このとき,28箇の調節池すべてを合わせた<堰を越える津波の断面積>は,
      \[ ( 1 \times 20 ) \times 28 = 560\ m^2 \]
    よって,調節池全体に流れ込む津波の水量は,
      毎秒 \( ( 10 \times 560 ) = 5600\ m^3 \)

    調節池の総容積 256万 \(m^3\) が満杯になるまでの時間を \( t \) 分とすると,
      \[ 2560000 = 5600 \times ( 60 \times t ) \\ \ \ \ \Longrightarrow t = 7.6 \]


    考察2 : 国立国会図書館新館