Up 「まん延防止」アベノミクス 作成: 2022-01-20
更新: 2022-01-20


      読売新聞, 2022-01-19
    まん延防止 スピード決定
    政府,要請全て受け入れ
     政府は新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」適用を巡り、18日までに1都12県と水面下で調整を進めてきた。 感染力の強い変異株「オミクロン株」の急拡大を踏まえ、各都県からの要請を基本的に全て受け入れることで、迅 速な決定を図った。 自治体や専門家と足並みの乱れが目立った過去の政権の反省を生かした。
     岸田首相は18日、記者団に適用方針を発表した上で、「都道府県との密接な連携、専門家の知見に基づく科学的判断、国民の協力をいただき、乗り越えていきたい」と強調した。
     重点措置の要請は、17日に東京など1都5県から寄せられ、18日に7県が加わった。 群馬など3県の正式な要請決定は同日午後になり、駆け込みでの要請となったが、夕方の関係閣僚会議では適用方針がすんなりと決まった。
     菅内閣では、迅速な対応を求める自治体と慎重な政府の温度差が浮き彫りとなる場面が多かった。 昨年1月の緊急事態宣言の再発令を巡っては、小池百合子都知事らが要請した2日後にようやく菅首相が検討を表明し、自民党内からも「後手に回った」との声が出た。 北海道や茨城県などからの重点措置の要請を拒む事例もあった。
     岸田内閣では、自治体とすり合わせを入念に行い、自治体の要望を最大限に尊重する方針だ。 「ワクチン・検査パッケージ」の停止を巡っても、埼玉県が反対したため、首相は「知事の判断で適用することも 可能とする」との考えを示した。
     東京都に対しても、首都圏の1都3県で歩調をそろえるよう求めつつ、他の3県と水面下で調整を進め、「小池氏のパフォーマンスに振り回されないよう、気を配った」(首相周辺)。
     首相はこの日、方針決定を前に新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長らと会談し、尾身氏から「オミクロン株の特徴にふさわしい効果的な対策を早期に打つことが対策の要諦だ」と助言を受けた。


    岸田内閣が前の菅内閣と違うところは,つぎの2点である:
    • 知事連中を相手にする仕方がわかってきた
       ──彼らの好きにさせる方が,政府にとって得策
         (どうなろうと,「そっちが望んできたことだ」になる)
    • 「財源」を問題にする者は,もういなくなった
       ──アベノミクスが財政を制圧

    この2点はセットである。
    知事連中の好きにさせるとは,彼らが求めてくる金をそっくり出してやることだからである。


    大衆は「まん延防止」を感染拡大対策だと思っている──騙されている──が,これの正体は「弁償金支払い」である。
    経済活動自粛を員に強制する自治体は,その自粛に弁償する。
    弁償の金は,自分のところには無い。
    そこで,金を出してくれることを国に求める。
    これが,「まん延防止法の適用を国に要請する」である。


    これまでの「新型コロナ財政出動」の額を見たらわかるように,1回これをやったら,それだけで1年の税収額相当を支出することになり,そしてこの支出額の半分以上が「債務」に計上となる。
補正予算 (閣議決定)
カテゴリー 2020年度 2021年度
(11月19日)
第1次
(4月7日)
第2次
(5月27日)
第3次
(12月8日)
事業規模
(財政支出  
+民間融資等)
117.1 兆円
(48.4兆円  
+68.7兆円)
117.1 兆円
(72.7兆円  
+44.4兆円)
73.6 兆円
(40兆円  
+33.6兆円)
78.9 兆円
(55.7兆円  
+23.2兆円)
財政支出
(国費(真水) 
+財政投融資)
48.4 兆円
(33.9兆円  
+12.5兆円)
72.7 兆円
(33.2兆円  
+39.3兆円)
40 兆円
(32.3兆円  
+7.7兆円)
55.7 兆円
(49.7兆円  
+6.0兆円)
国費(真水)
(補正予算  
+地方支出等)
33.9 兆円
(27.5兆円  
+6.4兆円)
33.2 兆円
(32兆円  
+1.2兆円)
32.3 兆円
(20.1兆円  
+12.2兆円)
49.7 兆円
(43.7兆円  
+6.0兆円)
補正予算
(一般会計  
+特別会計)
27.5 兆円
(25.7兆円  
+1.8兆円)
32 兆円
(31.9兆円  
+1.1兆円)
20.1 兆円
(19.2兆円  
+1兆円)
43.7 兆円
(31.6兆円  
+12.1兆円)
債務
(国債発行  
+財政投融資)
38.2兆円
(25.7 兆円  
+12.5兆円)
71.2 兆円
(31.9 兆円  
+39.3兆円)
26.9 兆円
(19.2兆円  
+7.7兆円)
28.1 兆円
(22.1兆円  
+6.0兆円)
債務/財政支出 79% 98% 67% 50%
比較: 2021年度一般会計の税収額
所得税:18.7 兆円
法人税:9.0 兆円
消費税:20.3 兆円
その他:9.5 兆円
  計:57.4 兆円

    なぜこのような財政が可能なのか?
    「財源」の考えをやめたからである。
    「財源」の考えをやめる──これが,アベノミクスである。


    地方自治体に国が与える金は,「財源」から出しているのではない。
    キータッチでつくっている。
    キータッチは,ただである。
    だから,政府は自治体にいくらでも金を出せる。

    「新型コロナ」では,これまでにいろいろな「怪我の功名」があった。
    そしてそのうちの一つが,「地方自治」が空文句であること──地方自治体にそんな能力・才覚は無いこと──をはっきりさせられたことである。