Up | 2020-01-20 ──考察 : <鏡をつつく>の意味 | 作成: 2020-01-20 更新: 2020-01-20 |
鳴く 鏡を周回 ボソ01♂♀は鏡像をリアルなカラスとは思っていない: では,ボソ01 にとって鏡像はどんな存在ということになるか。 ここでは,<オバケ>としてきた。 背の高いガラスコップの底に餌を置いたのを,ボソ01に示す。 このときは,♂が餌をとろうとして,コップを嘴にくわえて引き摺ったり,コップをつついたりする。 (コップを逆さにして餌を出すということを,知らない。) このコップをつつく様が,♀が鏡をつつく様と重なってくる。 おそらく♀は,鏡面を<自分とオバケを隔てるもの>としてつついているのである。 ♀が鏡の前で鳴くのは,オバケを威嚇しているのではなく,オバケに声をかけているのである。 ♀の鏡像に対する執着は,愛着の面が強いのかも知れない。 ちなみに,♀はこれまでに,鏡の止めネジを覆う金具8個をすべて外している。 ( 鏡の止めネジの蓋を外す) これを外したことにはおそらく思いがあって,それは「これを外せば,自分とオバケの隔てが無くなるかも」である。 さて,鏡面を<自分とオバケを隔てるもの>としてつついているとすれば,ボソ01 がはじめから鏡像を自分の<オバケ>にしている可能性だって出てくる。 「鏡像に対する認識の形」を思う動物行動学者は,これをつぎの2つに限る: 「自分の<オバケ>がそこにいる」は,<オバケ>を無くしていく過程があって,「自分が映っている」になる。 ひとが鏡像に対し<オバケ>を持たずに済んでいるのは,自分を育てている文化が「自分が映っている」を最初から教えてくれる文化だからである。 ボソ01 には,<オバケ>を無いものにする契機は,おそらく無い。 ──即ち,ボソ01に<オバケ>を無いものとするよう仕向ける学習法は,わたしには思いつかない。 |