Up 2021-12-07 : 個と類 作成: 2021-12-07
更新: 2021-12-07


    動物行動学は,動物の知能に関する発見を伝える。
    それを,種/類の名「A」を用いて,「Aは ‥‥」の言い方で伝えてくる。

    ボソ01の鏡への対し方は,♂と♀でまったく異なる。
    これは,「Aは ‥‥」をそのまま受け取るのはあぶない,ということを教える。
    生き物には,個の多様性がある。
    「Aは ‥‥」には,どのくらい個の多様性を押さえたらこの言い方をしてよいかという問題が伴うのである。


    つい最近,『魚にも自分がわかる』のタイトルの本が出た。
    その「魚」は,ホンソメ。
    著者は,ホンソメが鏡像自己認知をしたのが観察された──しかし査読者がタコで論文が受理されない,と憤っている。
    実際その実験内容は,「鏡像自己認知」が結論に決定というものではない。
    しかし,「魚にも自分がわかる」はこれから独り歩きすることになる。
    ひとはこういうキャッチフレーズが好きだからである。