Up 日本倒産 作成: 2023-11-08
更新: 2023-11-08


    企業は,不採算部門を切り捨てる。
    不採算部門の維持にかかるコストは,企業が生きられる方途に回す。
    実際,不採算部門にこだわっていたら,倒産してしまう。

    地下インフラが泥に埋まってしまった都心は,国の不採算部門になる。
    国が企業と違うところは,「復興」を唱え,これに資源を投入することである。
    これにより,国の財政はすっかり傾く。

    「復興」を唱えるのは,行政は行政を担当する者たちの生業だからである。
    彼らは,自分の生業を保つために,「復興」を唱える。
    政治はポピュリズム政治になるが,こうなるのは,政治家にとってポピュリズム政治をすることが自分の生業を保つことになるからである。


    行政は「復興」のために,「復興」財政をする。
    「復興」予算は,企業倒産・失職に対する手当てが中心になるので,とてつもない額になる。
    ここでは仮に「最初の年は少なくとも 500兆円規模,次年度から少なくとも 10年間は少なくとも200兆円規模」としておこう。 ──実直に項目を挙げていけば,こんなもんではとても済まないだろう。

    「 500兆円」の財源は?
    《500兆円の国債をコンピュータのキー入力でつくって,日銀が買う格好にする》である。
    そして,「500兆円」を個人・組織の銀行口座に振り込む。
    これも,コンピュータのキー入力。

    国民のほとんどは財政の仕組みを知らないから,これを自分たちの税金のやり繰り (再配分) だと思っている。
    実際は,国の税収はつぎの通り:
        2021年度予算:57兆4480億円
        2022年度予算:65兆2350億円
        2023年度予算:69兆4400億円
      ( この3年間で税収が増えているのは,消費税率を上げたことと,コロナ禍による税収減が 2021年度予算であるため)


    このような《無から金を造る》財政がなぜ通用するのか?
    金はもともと実体の無いものだからである。
    金は,人の信用幻想で保っている。
    翻って,幻想が壊れたら忽ち無になる。

    しかし金は勝手に造れるが,この金で買おうとする物は勝手に造れない。
    《無から金を造る》をやるごとに,金の価値は下がっていることになる。
    物価が上昇し,円安になるというわけである。


    10年間に 2000兆円の金を無から造ってバラまけば,ロジックでは国の経済はグチャグチャになる。
    「2000兆円」ほどの額になると,ひとはかえって感覚麻痺して何とも思わなくなるかも知れぬが,これは国民1億人のひとりひとりに「2000万円」が給付されるといった額である。
    ひとがこの金で物を買い出したらどうなるか?
    手のつけられないインフレになる。
    手のつけられない円安になる。

    しかし,「復興」を習性にしてしまったポピュリズム政治と《無から金を造る》を習性にしてしまった財政が合体すれば,このように進むのみである。