Up 専門家・行政は「津波は心配ない」と教える 作成: 2023-11-12
更新: 2023-11-12


    津波を阻む堤防は存在しない。

    津波は,堤防に阻まれるとそこで盛り上がる。
    うしろがつかえているからである。
    そして堤防を越える。
    それからは,堤防の上を彎曲して越える持続的流れになる。
    そして堤防も壊されていく。

    しかし専門家や行政は,「津波より防潮堤の方が高いから,津波は心配ない」と教えている。
    彼らは,津波が高潮や川の増水と同じだと教えているわけである。


    高潮は,上空の低気圧によって海面が持ち上がる現象である。
    防潮堤は,この水位上昇による洪水を防ごうとするものである。
    川の堤防も同じで,川の水位上昇による洪水を防ごうとするものである。
    防潮堤や川の堤防は,想定される最高水位より高くて,堤防にかかる水の圧力に耐える強度をもてばよい。

    さらに,この場合の水の圧力は,<静止した水の圧力>に理想化されるものである。
    この圧力は,大気圧と水の深さで決まる。
    川の堤防にかかる圧力も<静止した水の圧力>に理想化されるというのは,不思議に思うかも知れないが,川の堤防を水の流れに平行としたときはこうなる。


    堤防と津波の関係は,高潮や川の増水とはまったく異なる。
    津波は,堤防に押し寄せる水の流れになる。
    高潮や川の増水は,そうではない。

      (から)の水槽に板の仕切りを立てる。
      いま,板の一方の側に静かに水を注いでいく。
      このときの板と上昇する水の関係が,堤防と高潮・川の増水の関係である。
      つぎは,板の一方の側で,板に向かう水の流れをつくる。
      このときの板と水流の関係が,堤防と津波の関係である。

    専門家や行政は,どうして「津波より防潮堤の方が高いから,津波は心配ない」と教えるのか?
    二つの場合がある。
    一つは,津波をわかっていない場合。
    もう一つは,わかっているが,ひとを騙そうとしている場合。