Up 「アレルギー性肺炎」とは 作成: 2022-03-12
更新: 2022-03-12


    肺炎は,肺胞の炎症である。
    炎症は,異物に対する免疫反応の現象である。
    異物になるものは多様である:ウイルス,細菌,菌類,タンパク質微粒子。

    医療では,炎症のうちに「アレルギー性 (過敏性)」という区分を設けている。
    しかし,「過敏」ことばはミスリーディングである。
    病原性炎症も,ひとによって無症状・軽症・重症の別が現れる。
    これも「過敏」のうちである。

    病原性とアレルギー性を分けているものは,異物の大きさである。
    異物を白血球が貪食することで始まる免疫反応が,真性の炎症である。
    アレルギー性は,異物が大きくて白血球が貪食できない場合である。
    (花粉,菌類の胞子,プルーム等が,この場合になる。)
    アレルギーの咳は,白血球が役立たずなので,異物を咳で排出しようとしているのである。

    アレルギー反応では,空回りする白血球が肺胞の組織を攻撃対象にし出すことがある。
    「自己免疫」と呼んでいる現象である。
    この自傷現象が,「アレルギー性肺炎」である。


    アレルギーを起こす者とそうでない者の違いは何か?
    大きい異物に対する処理システムの能力差である。
    その処理システムとは?
    常在微生物叢である。

    自然環境で育ってきた者の常在微生物叢は,大きい異物を分解処理できるようになっている。
    大きい異物を分解処理できなければ,自然では生きられないからである。
    自然で生きている者は,生きられるように進化したから生きている。
    ゆえに,自然で現に生きているということは,大きい異物を分解処理するシステムをもっているということなのである。

    しかしひとは,人工環境で育つようになる。
    そしてこれと併せるように,自然を病気の巣と定め忌避するようになる。
    自然に曝されることが少なくなった者の常在微生物叢は,いびつになっていく。


    自然にとって人工環境なんかは,吹けば飛ぶようなものである。
    ひとは自然から逃げられない。
    そして少し自然に曝されれば,常在微生物叢をいびつにしてしまった体は,アレルギー反応を起こす。

    アレルギー体質になって,ひとはどうするか?
    自然を受け入れる,とはならない。
    人工環境をさらに固めてその内に引き籠もろうとするのである。
    マスクをして,空気清浄機をかけて‥‥‥

     註: 聳え立つ防波堤を築き,その陰で暮らすことを安全と定めることは,これと同類である。
    海を見えなくした生活に引き籠もり,海に無防備になる。

    こうして悪循環する。
    悪循環だが,ひとはこれにのめり込む一方である。
    なぜか?
    悪循環は,経済だからである。
    ひとは,経済の主体ではなく,経済の駒である。