Up 「災害」の哲学 作成: 2014-10-07
更新: 2014-10-09


良寛 :「災難に逢ふ時節には ‥‥」



災難に逢ふ時節には災難に逢ふがよく候。
死ぬる時節には死ぬがよく候。
是はこれ災難をのがるる妙法にて候。

    災害に対し人が立てる策は,ろくな結果にならない。
    災害は,「わるいこと」ではなく,単に複雑系だからである。

    災害対策は,対策に携わる個人・機関のエゴであり,そして「人」という種のエゴである。
    災害対策は,どの場合も「はた迷惑」をつくるものになり,そして「はた迷惑」の方が圧倒的に大きくなる。

    どの分野でも,「専門家・有識者・評論家」はアマチュアである。
    アマチュアであるから,デタラメを言う。──実際,デタラメしか言えないのが,道理である。
    そして,自分が何もわかっていないことを,わかっていない。
    あるいは,わかっていないことをわかっているが,既に引っ込みのつかない立場にいて,その立場を観念している。

    災害は,ひとに対策を頼るものではない。
    頼れる者など,いない。
    「ひとから頼られることを引き受けられる者などいない」という意味で,頼れる者などいない。

    こうして,災害に対して個がとるべきスタンスは,「覚悟」である。
    「覚悟しかない」という意味で,「覚悟」である。
    翻って,「覚悟」がないのは,ろくな生き方ができないということである。