- 「問題」を使う場面には,大きく分けてつぎの3つがあります:
- 主題の導入(「導入問題」)
- これからどこに向かおうとするのか,どのようなストーリーになりそうかを,問題提示の形で知らせます。
- 主題学習
- 理解度のチェック(「評価問題」)
- 主題理解の程度を教師がチェックする,あるいは生徒自身にチェックさせる目的で,問題を課します。
ここでは,2 の場合について解説しましょう。
- 「主題学習として問題解決を課す」とは?
- 「理解する」とは,アタマの中の出来事ではありません。それは,カラダの出来事です。
それは,スポーツのプレイの身につけるのを同じです。ことばによる指導を受けるとともに,自らカラダを動かすことでマスターします。
ことばで聴いたことを,実際カラダでやってみる。できなくて当然です。アタマとカラダは違います。聴くと実践はぜんぜん違います。
- 「問題解決を課す」とは,実践指導のことです。
- できることを問題として課すのは,意味がありません。
「できましたか?」「できてますね。よかったね。」みたいな授業には,まったく意味がありません。
課題になること (失敗によって学んで欲しいこと/つまずきそうなこと/間違えそうなこと)──はじめはできなくて当然のこと──を課さなくてはなりません。
そして,指導によって,最後にはできるようにするわけです。
- ですから,つぎのことがわからない教師に,問題解決の指導はできません:
- 「この主題に関しては,アタマとカラダはここが違う」
- 「カラダにとっての課題はこれだ」
スポーツの場合で考えれば,だれでもかれでもコーチにはなれないということは,わかりますね。
問題解決指導も,これと同様に考えてください。人に指導できるには,「コーチ」のレベルに達していなければなりません。
- 結論: 問題解決指導として教師の行うことは,
- 「課題になること」を同定する。
- できなかったことを最後にはできるようにする「指導」を構想する。
- その「指導」を,授業において実施する。