Up 公教育の位相 作成: 2008-07-04
更新: 2008-07-04


    公教育は,「社会人の育成」として,生徒につぎの概念をもたせる教育を行う:
        「個の多様性」
        「多様な個の共生」

    公教育は,「他人を利用する自由 (われ先に取る,奪う,だまし取る,殺す等の自由)」の主題 ( 商品経済社会における「多様な個の共生」の位相) に対しては,基本的にこれとは離れるスタンスをとる。


    市場原理のイデオロギーが流行りの時代には,「公教育も市場原理に立たねばならない!」が風潮になる:

      文科省の「改革」政策──教育内容を実用的なものに改める,グローバル化,英語教育,ファイナンスの授業。
      東京都教育委員会の施策──学校間競争,教員評価,学校の塾経営。
      国立大学の「法人化」,等。


    この場合,市場原理を強いる側と強いられる側の二分が起こるわけではない。
    特に,「市場原理を自分の原理としなければならない側 (経済界) -対- 公教育」という対立構図になるわけではない。 ──市場原理を自分の原理としなければならない側でも公教育の側でも,市場原理のイデオロギーに対する好感と反感が個人個人にばらけて葛藤する。

      <個人個人にばらけて葛藤>のメカニズムが,「社会」という人間の系のバランス/安定を実現している。

    そして,公教育は,どんなに市場原理に席巻されそうに見えても,結局市場原理に席巻されることはない。 それは,市場原理を自由にさせない装置を,社会が (意識的・無意識的に) 必要としているからである。