Up イデオロギーは重要ではない 作成: 2006-11-11
更新: 2006-11-11


    イデオロギー (信念体系) に重要な意義があるように考えられていた時代があった。 いまはそうではなくなった。

    実際,人間が持てる程度の信念体系で世界がとらえられるなら,世話はない。 世界は探求するほどに,複雑な相を現してくる。 信念体系は,世界探求が緻密さを増す (すなわち科学が進む) のに相反して,その意味を減じる。

    そして信念体系が決定的に重要であったと思われていた時代でも,信念体系の内容に決定的な意味があるということはなかった。 信念体系の内容が決定的であるように見えるのは,見掛けあるいは錯覚に過ぎない。

    例えば,信念体系Aと信念体系Bの勢力が互角だとしよう。このことは「人はA, Bのどっちにも転がり得る」ということを意味している。すなわち,これら信念体系への帰属は確率事象である。実際,この帰属は,性向や能力がどうのとは関係がない。互いに似た性向・能力をもつ者がAとBに分かれる。 絵で表すとつぎのようになる:


    AかBかの分かれが偶然であるということは,「AとBの間の行ったり来たり状態が本来の形であり,二つが敵対するとか,さらに一方が他方を駆逐して独り残るというのは,病気である」ということを示す。 つぎの構造が本来見るべきものであるということを示している: