Up 海底資源」デマゴギー 作成: 2024-03-04
更新: 2024-03-04


経産省資源エネルギー庁「水深約1,600mの海底に広がる未開の鉱物資源!「海底熱水鉱床」の可能性」 から引用:
海底に広がる資源の利活用を目指して


    「海底に広がる資源の利活用」は,騙しである。

    レアメタルは岩石中に僅かしか含まれない。
    よって,レアメタル採掘は膨大な量の岩石の掘削になる。
    この<膨大な量の岩石の掘削>は,物理的に,海洋でやれることではない。

      そもそも<膨大な量の岩石の掘削>はとんでもない海洋汚染になるものであるから,「海底に広がる資源の利活用」はテーマにもなるはずのないものである。


    では,経産省資源エネルギー庁はどうして「海底に広がる資源の利活用」を言うのか?
    「将来有望」を唱えれば,国から金が下りるからである。

    研究者・研究機関は,業績をつくることが生業である。
    業績をつくるためには金が要る。
    国から金を取るために,「将来有望」を装う。


    ひとは,なぜ「海底に広がる資源の利活用」のキャッチフレーズに騙されるのか?
    「スケール」の考えが無いからである。
    耳かき一杯と露天掘り巨大運搬トラック一杯の違いを,思うことができない。
    研究者・研究機関がする資料採取とリアルな採掘の違いを,思うことができないのである。


    一方,「海底に広がる資源の利活用」はウソだが,このタイプのウソは大事である。
    このウソにまんまと乗ることの中から,科学的知見が得られるからである。
    実際,荒唐無稽なウソを立ててそれに確信犯的に乗ってみることは,しばしば科学創造のよい方法である。

    地震学は「地震を予知する」とふれ回り,国から莫大な金を引き出した。
    地震の予知はできるものではないが,このウソに乗った研究によって,地震に関する知見は深まった。
    「海底に広がる資源の利活用」のウソも,同様に考えることができる。

    1兆円は,1億人個々に1万円をばらまけばそれで終わりだが,「海底に広がる資源の利活用」に1兆円を投じれば,海洋に対する知見が深まることになる。
    「月に広がる資源の利活用」だと,国が投じる金は100兆円は下らない。
    そのときは,「1億人個々に100万円をばらまけばそれで終わりだが,このプロジェクトに金を投じることで,月に関する知見が深まり,いろいろな分野で技術の進歩がある」の言い方になる。