Up タッシリ・ナジェール文明 (サハラ) 作成: 2024-05-13
更新: 2024-05-13


    いまはサハラ砂漠の中にあるタッシリ・ナジェールは,古代岩壁画──1万5千点を超え,1万年前まで溯ることになる岩壁画──で知られる。
    その岩壁画のクオリティの高さと描かれている内容は,タッシリ・ナジェールが古代文明の地であったことを示す。


    文明は,燃料の必要と焼畑耕作のために,森林のあることが環境要件になる。
    タッシリ・ナジェールの存在は,そこがかつては森林のある地であったことを意味する。

    タッシリ・ナジェールは,なぜサバク化したか?


    ひとはサバク化を気候変動で起こるものと思っているが,土 (土壌生態系) とその上の生態系は気候変動くらいには適応できてしまうので,気候変動でサバク化とはならない。

    自然の所為としては,火山噴出物の堆積があり得る。
    実際,タッシリ・ナジェールは火山性の山地にある。

    自然の所為でなければ,文明の所為である。
    実際,文明はサバク化が必至である:
      燃料の用に,木が伐られる。
      焼畑耕作のために,森林が焼かれる。
      過耕作・過放牧で,表土が露出する。
      露出した表土は,水や風で流される。
      露出した表土は,水分の蒸発による塩類集積というタイプの不毛化も招く。
      露出した表土は植生を乾燥化し,野火を招く。
      こうしてその地はサバクになっていく。
      人はその地を棄て,他の地に向かう。
      サバクの中に文明の跡が遺される。
      後代,探険家がこれを古代文明遺跡として発見する。