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平凡社『世界大百科事典』,1988,「採炭」から引用
沿層坑道方式は石炭層の中に主要坑道を掘削して採掘を行う方式で,〈払い〉(切羽,採掘場のこと)作りが簡単で,そのための投資が少なくて済み,直ちに出炭ができる。
しかし,坑道が石炭層の中にあるため,坑道を安定に維持することが困難で,運搬や通気(坑内に新鮮な空気を供給し,汚れた空気を排出する作業)に当たって,いろいろな障害が生ずる。
一方,岩盤坑道方式は,採炭準備のための坑道を多くは下盤(炭層の下側の岩石)の中に展開し,要所から採掘のための坑道を炭層へ向かって掘進し石炭を採掘する方式で,主要坑道が岩盤中にあって払いから切り離されているため,その維持が容易で,運搬に有利であり,通気上も好ましい。
石炭の自然発火や火災,爆発など緊急事態が発生した場合にも処置が容易に行えるという利点も有するが,その反面,炭層まで連絡する坑道をいくつも作らなくてはならないなど,経費面での負担が大きい。
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