「数」と呼ばれているものを,
自然数 → 整数 → 有理数 → 実数 → 複素数 → 四元数
→ 八元数 → 十六進数
と追っていくと,「数」の意味として一貫して残るものが無くなる。
どうしてこうなるかというと,新しい「数」をつくっていくやり方が,「直近の改造」だからである。
隣り同士は似ているが,隔たるにしたがい別物になっていく。
- 自然数 → 分数 (有理数) は,順序稠密化である。
- 有理数 → 実数 は,完備化である。
- 実数 → 複素数 は,倍作用の対象にしている実ベクトルの次元を1から2に上げるものである。
- 複素数 → 四元数 は,倍作用の対象にしている実ベクトルの次元を2から3(結果的に4) に上げるものである。
また一面では,複素数の「複素」形式の拡張である。
- 四元数 → 八元数 → 十六進数 は,純粋に「複素」形式の拡張である。
四元数までは<量をもつ数>であり,八元数からは<量をもたない数>である。
数学は,実数,複素数,四元数から定義される量形式
( (, +), ×, (, +, ×) )
( (, +), ×, (, +, ×) )
( (, +), ×, (, +, ×) )
をもつ量として,それぞれ
( (, +), ×, (, +, ×) )
( (, +), ×, (, +, ×) )
( (, +), ×, (, +, ×) )
を取り上げる。
これらは,線型空間論の実線型空間から材料をとってきている。
特に,( (, +), ×, (, +, ×) ) は,「量」と「線型空間」の両方の見方ができる。
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