Up 量の構造:( ( Q, ), ×, ( N, +, × ) ) 作成: 2011-01-12
更新: 2011-01-18


    「数」を構造で表現したように,「量」の構造をとらえこれを表現するとしよう。

    「長さ」では,(「3cmの長さ」のように) 個々の長さが考えられている。 この個々の長さ全体の集合を考え,Qで表す。
    個々の長さはQの要素ということになったので,これを「長さ(要素)」と言い表す。 一方,Qの方を「長さ(集合)」と言い表す。

    2つの長さ(要素) の間には,比が考えられている。 そして,この比の表現に用いることになるのが,数である。
    長さに伴う数が ( N, +, × ) であるとしよう。

     註 : 長さの場合,Nは通常実数 を考えることになる。

    「比」の別表現に「倍」がある。 この二つの表現は,q, q' ∈ Q と n ∈ N に対するつぎの<言い換え>の関係にある:
「qとq´の比はn」
「qのn倍はq´」
    この倍を,Qの要素に対するNの要素の作用 (外算法) と解釈し,記号「×」で表す。 すなわち,「qのn倍」を q× nで表す。

     註 : 数の「×」と区別されるよう,「×」は下付けで太字の小さい「×」である。

    ここまでで,長さは,長さ(集合) Q と数 ( N, +, × ) と倍作用 × を構成要素とする系ということになった 。この系──「長さ(系)」──をつぎのように表すとしよう:
( Q, ×, ( N, +, × ) )
    ところで,長さでは「和」が考えられている。 すなわち,長さ(集合) Qには,内算法である加法が考えられている。
    この加法を,記号「」で表す。

     註 : 数の「+」と区別されるよう,「」は太字の「+」である。

    こうして,長さ(系) は,最終的につぎの構成になった:
( ( Q, ), ×, ( N, +, × ) )


    以上「長さ」について,これの系としての構成を示した。 しかし,この構成を導いてきた論法は,他の量 (「重さ」「時間」「速さ」‥‥ ) でも同じになる。
    そこで一般に,「量」が系,集合,要素のいずれを指すかでそれぞれ「量(系)」「量(集合)」「量(要素)」の言い回しを用いることにし,そしてつぎを量(系) の表現とする:
          ( ( Q, ), ×, ( N, +, × ) )
    Q母体としての集合
    Qの内算法の加法
    ×Qの要素に対する数 Nの要素の倍作用