Up 「数」の意味のシフト 作成: 2011-01-13
更新: 2011-01-15


    「数」と呼ばれているものを,
      自然数 → 整数 → 有理数 → 実数 → 複素数 → 四元数
      → 八元数 → 十六進数
    と追っていくと,「数」の意味として一貫して残るものが無くなる。
    どうしてこうなるかというと,新しい「数」をつくっていくやり方が,「直近の改造」だからである。
    隣り同士は似ているが,隔たるにしたがい別物になっていく。

    • 自然数 → 分数 (有理数) は,順序稠密化である。
    • 有理数 → 実数 は,完備化である。
    • 実数 → 複素数 は,倍作用の対象にしている実ベクトルの次元を1から2に上げるものである。
    • 複素数 → 四元数 は,倍作用の対象にしている実ベクトルの次元を2から3(結果的に4) に上げるものである。
      また一面では,複素数の「複素」形式の拡張である。
    • 四元数 → 八元数 → 十六進数 は,純粋に「複素」形式の拡張である。


    四元数までは<量をもつ数>であり,八元数からは<量をもたない数>である。

    数学は,実数,複素数,四元数から定義される量形式
        ( (, +), ×, (, +, ×) )
        ( (, +), ×, (, +, ×) )
        ( (, +), ×, (, +, ×) )
    をもつ量として,それぞれ
        ( (, +), ×, (, +, ×) )
        ( (, ), ×, (, +, ×) )
        ( (, ), ×, (, +, ×) )
    を取り上げる。
    これらは,線型空間論の実線型空間から材料をとってきている。

    特に,( (, +), ×, (, +, ×) ) は,「量」と「線型空間」の両方の見方ができる。