Up 倍 ←→ 行列の作用  


    線型代数と「数と量」は,1次元実線型空間と<実数に対する量>で同じものになります。 そしてこのときは,ベクトルに対する線型変換 (行列の作用) と量に対する倍 (数の作用) が同じものになっています。
    そこで,次元が上がるときの「<量に対する倍 (数の作用)>に対応するもの」としては,<ベクトルに対する線型変換 (行列の作用)>を自ずと択ぶことになります。

    体K上の線型空間Eにおける線型変換:E─→ E の考え方は,「任意の ∈E,n∈K に対しf( × n) = f() × n」です。 実際,これが「線型 (線形を保つ)」の表現になります。
    そして,これを2次元以上で実現するためには,つぎの組を条件にするとよいことがわかります:
    1. f( × n ) = f( ) × n
    2. f( ) = f( ) f( )
    1次元では,条件2は条件1の含意になります。

    線型変換は,基底の対応先で決定します。
    そしてこのことから,「行列」の表現をもつことになります。
    よって,「<量に対する倍 (数の作用)>には<ベクトルに対する行列の作用>が対応する」となります。