Up 「比例定数の積」→「行列の積」  


  • 線型写像の合成は,以下述べるように,表現行列の積の計算によって求めることができます。そしてこのときの行列の積は,比例定数の積とつぎのように対応しています:


  • 表現行列の積

    1. 線型写像fQ ─→ Q'gQ' ─→ Q" の合成 gf は,線型写像になります:
(gf)(x×ξ)=g(f(x×ξ))=g(f(x)×ξ)=g(f(x))×ξ=(gf)(x)×ξ
(gf)(xy)=g(f(xy))=g(f(x)+f(y))=g(f(x))+g(f(y))=(gf)(x)+(gf)(y)

    1. Qの基底(u1, u2),Q'の基底(v1, v2),Q"の基底(w1, w2) に対し,(u1, u2), (v1, v2) に関するfの表現行列を
A= α11 α12
α21 α22
      (v1, v2), (w1, w2) に関するgの表現行列を
B= β11 β12
β21 β22
      とするとき,(u1, u2), (w1, w2)に関するgfの表現行列を,AとBの積
A×B
      の形で表すことにします。比例関数の合成に比例定数の積が対応しましたが,これに倣うわけです。

    1. A×Bの表す行列
γ11 γ12
γ21 γ22
      は,
γij=αi1×β1j+αi2×β2j (i,j=1,2)
      のようになります(註)。すなわち,
α11 α12
α21 α22
× β11 β12
β21 β22
α11×β11+α12×β21 α11×β12+α12×β22
α21×β11+α22×β21 α21×β12+α22×β22


    (註) 実際,
      (gf)(ui)
      g(f(ui))
      g(v1×αi1v2×αi2)
      g(v1×αi1)+g(v2×αi2)
      g(v1)×αi1g(v2)×αi2
      =(w1×β11w2×β12)×αi1+(w1×β21w2×β22)×αi2
      w1×(β11×αi1+β21×αi2)+w2×(β12×αi1+β22×αi2)
      w1×(αi1×β11+αi2×β21)+w2×(αi1×β12+αi2×β22)
      したがって,
      γi1=αi1×β11+αi2×β21
      γi2=αi1×β12+αi2×β22
      すなわち
      γij=αi1×β1j+αi2×β2j (j=1,2)