Up | 「数学で」と「数学を」 | 作成: 2010-08-13 更新: 2010-08-15 |
対立の意味は,ひとによって一様でない。 本論考では,<目的-手段>論と非<目的-手段>論の対立の意味で,「数学で・数学を」を用いることにする。 「数学で・数学を」の対立は,それぞれの含意になる学校数学の構成,出口論の位相を考えるとき,「構造的に正反対」という対立であることがわかる。 「数学で」は,出口論から出発する。 学校数学は,この出口を実現するものとされる。 そして,学校数学をこの出口を実現するように構築しようとする。 「出口を数学で実現」なので,「数学で」と謂うわけである。 「数学を」は,数学から出発する。 数学をきちんと教えることが,よい成長をもたらすことになると考える。 この成長は,「出口」の形でことばに表現するものにはならない。 出口を立てない形で,数学を立てる。 「数学を教える」を専らにするので,「数学を」と謂うわけである。 「数学で」は,「出口を実現するためには,どんな数学をどんなふうに扱うのがよいか?」と考える。 「数学を」は,「教える優先度の高い数学は,どれか?」「この数学をきちんと教えるとは,相手の成長段階に応じてどのような形をとっていくことか?」と考える。 |