Up | 本テクストについて | 作成: 2015-10-13 更新: 2015-10-13 |
数学教育担当の定年退職を,数年先に控えていた時である。 数学教育学の道に入って以来ずっと先延ばしにしてきた「数学教育学とは何か?」の問題──数学教育学を仕事にする者にとって本来最優先の問題──に対し,いよいよ何とか決着をつけねばということで,テクストづくりに入った。 ただし本テクストはそのまま続けられることにはならず,「Making 『「学校数学」論』」の一連のテクストをつくっていくことになる。 「Making 『「学校数学」論』」は,「数学教育学とは何か?」のテクストに終結することを期した,手探り作業である そしてこの作業は,『マクロ数学教育学 ──定立と方法』 (2014-11-13 最終更新) が終結となった。 『マクロ数学教育学 ──定立と方法』が,「数学教育学とは何か?」の問いに対しわたしが出した答えである。 しかし,「マクロ数学教育学」の表題は,拙かった。 この表題は,現前の「数学教育学」に遠慮したものである。 「数学教育学とは何か?」の問いで問う数学教育学は,科学としての数学教育学である。 現前の「数学教育学」は,数学教育学ではない。 しかし,「数学教育学」は,自身を数学教育学に定めている。 「数学教育学」を数学教育学に定めることを,自分の立場・役回りにしている者──確信犯的に「数学教育学」を数学教育学にしている者──もいる。 このことに遠慮した。 数学教育学を「マクロ数学教育学」にして,「もう一つの数学教育学」の趣きにした。 しかし,この遠慮はやはり無用のものである。 それは,数学教育学の意味を明確にしようとする作業を,自ら台無しにしているだけである。 そこで,「数学教育学とは何か?」の問いに対するわたしの答えとなるテクストを,『数学教育学とは何か?』の表題で改めてつくることにした。 こうして,2008年につくり始めて直ぐに中断となった『数学教育学とは何か?』に,いま戻ってきたというわけである。
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