Up 生態学方法論 : 要旨 作成: 2016-02-03
更新: 2016-02-03


    『数学教育学とは何か?』は,この『5. 数学教育生態学』の前に,『2. 数学教育学の動機』『3. 数学教育学の形』『4. 数学教育学の基礎学』がある。
    それらは,科学としての数学教育学──それは,数学教育生態学ということになった──の「構想」を述べてきたことになる。
    いま,この『5. 数学教育生態学』において,数学教育生態学の実際の論考を試行しようとする。

    論考の試行では,先ず論考の構成を考えることになる。
    構成の理を考え,その理に順って論考の構成をする。
    この「生態学方法論」の章では,本論に先だって,「構成の理」としたものを示しておくとする。
    本論は,次章「学校数学」から始まる。


    現前の「数学教育」は,「数学教育の進化の途上」の相で見る必要がある。
    現前の「数学教育」の諸相に意味を与えるものは,これの歴史的経緯だからである。

    現前の「数学教育」を「数学教育の進化の途上」の相で見ることは,「数学教育の進化」を押さえている上でできることである。
    そこで,「数学教育の進化」の押さえをする。
    そして,「数学教育の進化」の押さえをすることは,数学教育生態学が主題化すべき事項を取りこぼさないようにすることでもある。


    数学教育生態系は,運動する系であり,力学系である。
    数学教育生態系の要素は,すべて系の動因であり,そして連動している。
    こうして,数学教育生態系の論述は,「数学教育のダイナミクス」の論述である。

    ここで,「数学教育のダイナミクス」を,つぎのようにカテゴリー分けする:
    ここで線分は,二つのカテゴリーを横断するダイナミクスを表す。

    この図は,4頂点6辺形である。
    一方,論述のテクスト構成は,線形である。
    そこで,本論考は,つぎの構成を基本とする:
    1. 学校数学を中心に据えた「数学教育のダイナミクス」
    2. 数学教育学を中心に据えた「数学教育のダイナミクス」
    3. 教育行政を中心に据えた「数学教育のダイナミクス」
    4. 教育産業を中心に据えた「数学教育のダイナミクス」
    この構成では,図の辺にあたるところで内容に重複が出るが,重複は「パラフレーズ」に他ならず,無駄となるものではない。