Up 是非/善悪の彼岸──現成論 作成: 2015-10-09
更新: 2015-10-31



    「世界」は,一つの世界である。
    世界を一つ定めるものは,視座である。
    視座を変えれば,見える世界が変わる。

    視座の変更の基本形は,存在の階層の昇降である。
    存在は,系の個であり,個の系である。
    一つの存在を定めている視座は,つぎの視座を導く:
      存在を<系の個>として現す視座──上の階層に昇る
      存在を<個の系>として現す視座──下の階層に降る
    『「系−個」存在論』)

    視座の上昇は,現世の意味・価値の彼岸に渡ることである。
    この彼岸から現世を見るとき,そこには理が見える。
    翻って,理の成り立つ形が現世であることが,とらえられる。
    即ち,「現成」である。

    こうして,彼岸の視座で現世学をつくれば,それは「現成論」になる。
    現世の意味・価値の彼岸から現世学をつくるスタンスのことを,「科学」という。
    科学は,「現成論」がこれの形になる。

      物理学は,現前の物理現象の現成論である。
      数学教育学は,現前の「数学教育」の現成論である。