Up 「数学教育」は,商品経済の「人づくり」 作成: 2015-11-27
更新: 2015-11-28


    「数学教育」は,《OECD の PISA に敏感に反応》に示されるように,商品経済での優勢を実現・保持できる人材の供出を,自分の立場にしている。

      註 : 「○○を自分の立場とする」は,「○○を自分ができている」ではない。
    つもりとやっていることは,一致しない。

    「数学教育学」を生業とする者は,役割を粛々と務める一方で,商品経済の優勢獲得ゲームが続かないものであることを知っている。
    実際,彼らは,商品経済の系の膨張 (人口・資源蕩尽の爆発的膨張を内容にする膨張) に指数関数を重ねることのできる者である。

    今は,超長期の地球史の生産物を,超一瞬に消費する時代である。
    商品経済は,「経済成長」「生活の向上」をスローガンにして,これに邁進する系である。
    このことに是非はない。
    「保全学」は,保全イデオロギーであって,指数関数の隠蔽がいちばんの機能になっている。
    これも是非のないことである。

    一般に,生物は自分で自分を抑制することはしない。
    できることは,できなくなるまでやる。

    指数関数は,天井突破の関数である。
    天井突破は,系の終局の相である。
    「数学教育学」を生業にする者は,指数関数を営みつつ,終局を設定する。
    「数学教育学」は,是非もないこととして,終局の実現を営む。

    ところで,天井突破の指数関数は,貫徹されるのか?
    系は,異常に対し制御メカニズムを現す。
    それは,上昇に対してはこれを抑え込み,下降に対してはこれを突き上げるというメカニズムである。
    この場合,指数関数は,周期関数に変わる。

    指数関数の天井突破も,指数関数の周期関数への矯正も,人間の系の事態に解釈すれば,「壊滅的危機」である。
    商品経済のスタンスは,「壊滅的危機」の数学の思考停止を含蓄する。
    さて,「数学教育学」は,「壊滅的危機」の数学を理解できる者として,「壊滅的危機」が展望される事態進捗のどの段階まで,商品経済のスタンスを保持していくことになるか?

    こうして,「数学教育学」は,自分の存在の問いをもつ:
      自分の在り方は,果たしてこれか?