Up 超「論理実証主義」 作成: 2008-08-12
更新: 2015-12-28


    本テクストが「科学としての数学教育学」を立てようとするその「科学」は,つぎの立場を謂う:
      《現前を理の実現と定め,その理を探求する》
    通常,科学の科学たる所以とされるものは,論理実証主義である。
    数学教育学の「科学」は,論理実証主義の逸脱を行うものになる。

    論理実証主義は,「論理実証」ができるために,思考対象を論理的対象にしなければならない。
    どのようにこれをやるか?
    対象をことばにするのである。
    ことばにしてしまえば,「論理実証」が「言語の論理で計算」のことになる。

    翻って,論理実証主義は,「思考対象はことばにできる」の立場を含んでいる。
    「思考対象はことばにできる」の立場は,表象主義である。
    論理実証主義は,おおもとが表象主義である。

      註:「数学教育学」が自分の範にしている「認知科学」は,表象主義である。


    「思考対象はことばにできる」は,複雑系に対しては成り立たない。
    実際,複雑系の複雑系たる所以は,《<表象の供給元>という役割に関して言語をまったく無力にする》である。
    そして,数学教育は複雑系である。
    数学教育学の論述は,表象主義を超えることになる。
    論理実証主義に対しては,数学教育学はこれの逸脱になる。