Up | Transzendental タイプの言説例 | 作成: 2015-12-16 更新: 2015-12-18 |
先ず,「Transzendental (超越論的)」のことばは,カント (1781:『純粋理性批判』) のものである。 哲学は Transzendental タイプの言説をいくらでも見出せるが,ここでは ウィトゲンシュタイン (1953: Philosophische Untersuchungen),ポスト・モダンを,カントの後に加えておく。 中国思想だと,荘子。 Transzendental は,文学・芸術の十八番(おはこ)である。 ランボー (1873: 地獄の季節) ,ブルトン (1924: シュルレアリスム宣言) など。 宗教分野の Transzendental は,仏教である。 『般若心経』,道元『正法眼蔵』の「現成公案」など。 キリスト教にも Transzendental に類するものはある。 新約聖書『ローマ人への手紙』の XII. 21 - XIII. 7 である。 自然科学だと,カントが自分の Transzendental を「コペルニクス的転回」と称しているように,コペルニクスの地動説が先ず挙がる。 生物学では,ダーウィンの進化論。 そしてもう一つ,ユクスキュル (1934 : Streifzüge durch die Umwelten von Tieren und Menschen: Ein Bilderbuch unsichtbarer Welten , 邦訳『生物から見た世界』) を特に挙げておく。 物理学での例は,言うまでもなく『相対性理論』。 人文・社会科学だと,マルクス (1867: 資本論) が屈指である。 ポスト・モダンは,マルクス再評価の様相を呈した。実際,ポスト・モダンでは,Transzendental タイプの思想の再評価/復権があった。──マルクスの他に,ソシュール,フロイトの名が挙がる。 日本の思想家では,吉本隆明 (1968 : 共同幻想論) を挙げておこう。 数学は,Transzendental を方法にして構築される。 全体が Transzendental である。 その中でも,Transzendental が内容からもよく伝わってくる数学として,非ユークリッド幾何学が挙げられる。 多様体論も,「多数世界」の表現形として,内容的に Transzendental がわかりやすい数学の例になる。 |