生物の不思議は,「どうしてこんな複雑で精巧なものが,ひとりでに出来上がることができたのか?」である。
「ライフゲーム」の意義は,「ひとりでに出来上がるのかも知れない」と思わせてくれるところにある:
単純な局所ルールが,<要素>の目まぐるしい運動とパターンを生成する。
この生成は,動的なままで定常相に収まる。
定常相は,<モジュール>を単位にして構成されているように見える。
生成はさらに続き得る。
それは,<モジュール>を改めて要素とした運動とパターンの生成である。
そしてこれも,定常相に収まる。
この定常相は,先の定常相より存在レベルが一段上がったものである。
生成におけるこの「存在の階層上昇」は,「原理的に,さらに続き得る」と見ることになる。
ライフゲームはこのようなものとして,「体 = 組織・器官の階層的構成」のシミュレーションのように思えてくる。
- 参考文献
- William Poundstone, 有澤 誠[訳]『ライフゲイムの宇宙』, 日本評論社, 2003.
- Levy, Steven Artificial life : The quest for a new creation, New York, 1992.
服部桂[訳]『人工生命──デジタル生物の創造者たち』, 朝日新聞社, 1996.
- 参考ウェブサイト
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