人工生命論的 コンピュータネットワーク・ウィルス 進化シナリオ
- <人工生命>の技術は,高度なコンピュータネットワーク・ウィルス (以下,ウィルス) をつくり出すことができる。
- ウィルスの行動・自己組織化・自己複製・進化は,その各ステップにおいて,コンピュータのメモリを書き換える。
この「メモリ書き換え」が,「ウィルス被害」になる。
ウィルスの振る舞いは,予想がつかない。
これは,「ウィルス被害」は予想がつかないということである。
- ウィルスの行動・自己組織化・自己複製・進化は,「適応」である。
この「適応」のうちには,「攻撃から身を守る方法をつくり出す」が含まれる。
ウィルスの知能は,ボトムアップでつくられるものであり,創発である。
ウィルス-対-人では,ウィルスの知能が人の知能を上回る。
それは,ディープラーニング型人工知能が人の知能を上回る場合と同じである。
- ウィルスは,いくらでも人を出し抜き,いくらでも拡大できるポテンシャルをもつものになる。
しかし,一方的拡大は,コンピュータ・ネットワークの破壊であり,ウィルスが自分の生きる場所を無くすことである。
そこで,ウィルスの進化には,「ウィルス被害」の形の変化が応じる。
人にとって「ウィルス被害はあるが,コンピュータ・ネットワークは手放せない」の状態は同じである。
しかしここでの要点は,人はこのとき「ウィルス被害」が何であるのかわからないということである。
人は,ウィルスに騙されるものになるのである。
そしてこれは,人がウィルスに支配されるということである。
- ウィルスは進化して,既存のビッグデータ,人工知能を吸収するようにもなる。
(コンピュータ・ネットワーク上に存在するものは,すべてウィルスの餌食になる!)
ウィルスの知能は爆発的に強大化し,ウィルスの進化は「コンピュータ・ネットワーク知能」といったものに至る。
人および人工知能はこれに支配される──支配されているという思いの無い<支配される>。
こうしてウィルスは,<神>とは言えずとも<神の見えざる手>ほどのものにはなって,一段落する。
(「一段落」の意味は, 「一章の終わり──次章 (未知) へ続く」である。)
- 参考/情報サイト
- 参考文献
- Levy, Steven Artificial life : The quest for a new creation.
Pantheon Books, 1992.
服部桂[訳]『人工生命──デジタル生物の創造者たち』, 朝日新聞社, 1996.
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