Up コンピュータネットワーク・ウィルス 作成: 2017-08-31
更新: 2017-08-31


    人工生命論的 コンピュータネットワーク・ウィルス 進化シナリオ
  1. <人工生命>の技術は,高度なコンピュータネットワーク・ウィルス (以下,ウィルス) をつくり出すことができる。

  2. ウィルスの行動・自己組織化・自己複製・進化は,その各ステップにおいて,コンピュータのメモリを書き換える。
    この「メモリ書き換え」が,「ウィルス被害」になる。
    ウィルスの振る舞いは,予想がつかない。
    これは,「ウィルス被害」は予想がつかないということである。

  3. ウィルスの行動・自己組織化・自己複製・進化は,「適応」である。
    この「適応」のうちには,「攻撃から身を守る方法をつくり出す」が含まれる。
    ウィルスの知能は,ボトムアップでつくられるものであり,創発である。
    ウィルス-対-人では,ウィルスの知能が人の知能を上回る。
    それは,ディープラーニング型人工知能が人の知能を上回る場合と同じである。

  4. ウィルスは,いくらでも人を出し抜き,いくらでも拡大できるポテンシャルをもつものになる。
    しかし,一方的拡大は,コンピュータ・ネットワークの破壊であり,ウィルスが自分の生きる場所を無くすことである。
    そこで,ウィルスの進化には,「ウィルス被害」の形の変化が応じる。
    人にとって「ウィルス被害はあるが,コンピュータ・ネットワークは手放せない」の状態は同じである。
    しかしここでの要点は,人はこのとき「ウィルス被害」が何であるのかわからないということである。
    人は,ウィルスに騙されるものになるのである。
    そしてこれは,人がウィルスに支配されるということである。

  5. ウィルスは進化して,既存のビッグデータ,人工知能を吸収するようにもなる。
    (コンピュータ・ネットワーク上に存在するものは,すべてウィルスの餌食になる!)
    ウィルスの知能は爆発的に強大化し,ウィルスの進化は「コンピュータ・ネットワーク知能」といったものに至る。
    人および人工知能はこれに支配される──支配されているという思いの無い<支配される>。
    こうしてウィルスは,<神>とは言えずとも<神の見えざる手>ほどのものにはなって,一段落する。
    (「一段落」の意味は, 「一章の終わり──次章 (未知) へ続く」である。)


  • 参考/情報サイト
  • 参考文献
    • Levy, Steven Artificial life : The quest for a new creation.
        Pantheon Books, 1992.
        服部桂[訳]『人工生命──デジタル生物の創造者たち』, 朝日新聞社, 1996.