Up | 「特産品」の虚構 | 作成: 2023-04-08 更新: 2023-04-08 |
読売新聞, 2023-02-08
ふるさと納税返礼品との絡みは,利尻島のウニのケースを想起させる。 <申込みに応じる>を務めにすると,こうなってしまうというわけである。 ひとは「特産品」を,<その地に有ることがアタリマエの物>のように思う。 「特産品」を商売にする方も,このように見せ掛ける。 こうして人気「特産品」の商売は,必ず<供給できない>に至る。 そして,禁じ手を使ってしまうことになる。 禁じ手を使ってしまうのは,禁じ手の使用への圧力があるからである。 圧力をかけているのは,「特産品」の意味を考えることのない者たちである。 「特産品」とは,流通において<地方>が存在した時代は,「その地に行かねば得られない品」のことである。 流通において<地方>が存在しないいまの時代は,「希少品」のことである。 よって,「高価な品」となるものである。 そのようなものをふるさと納税の返礼品にしたら,利尻や大間のようになる。 「観光立国」は,この危うさがはじめから含蓄になっている。 観光を「特産品」で商う者は,これで自分の身を切ることになる。 例えば,北海道観光のアイコンの一つになっている毛ガニは,乱獲がたたって,漁獲量がつぎのように推移している (数値の単位はトン): |
1匹平均 500グラムとすると,1336トンは,267万2千匹:
実際,北海道観光局観光振興課の統計で,北海道観光客数は, これは何を意味しているか。 「北海道観光の売りにの一つに毛ガニを含めることは,本当ならやれることではない」である。 そして,毛ガニは特殊なケースではない。 全般に,観光業が謳う「特産品」は,虚構なのである。 |