「細胞のコロニーから多細胞へ」
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DrewI (2018), pp.132,133.
生物の多細胞化は、根元的な変化だった。
共同体を構成する細胞が専門化しはじめ、それぞれの細胞がめいめいの仕事で公益に貢献するようになり、協調が競争に取って代わったのだ。
意味のあるかたちでくっつきあった、最初期の細胞集団を思い浮かべてみてほしい。
それはほとんど無定形のかたまりで、細胞たちは寄り集まることから単純な利益を得ていたのだろう。
その状況で、集団を構成する細胞がそれぞれ異なる仕事を引き受けるようになるのは想像にかたくない。
おそらく、外側にいる細胞は、内側にいる細胞よりも少しだけ頑丈になっただろう。
そして、頑丈になるという義務から解放された内側の細胞は、その代わりに外側の細胞のためになることをしたのではないだろうか。
たとえば、なんらかの代謝機能をより効率的にこなすようになる、とか。
おそらくはじめのうちは、その集団はまったくの無秩序状態だったにちがいない。
特定の細胞が外側に行くようにプログラムされていたわけではなく、たまたま外側にいた細胞がなりゆきで頑丈になっただけだろう。
だが、時とともに発生の様式が進化し、しだいに厳密になっていった。
細胞のアイデンティティ──すべて同じDNAを持つクローンで、その特性はどの遺伝子のサブセットがオンまたはオフになるかで決まる──は、より固定的なものになったはずだ。
細胞間の信号伝達がはじまり、さまざまなタイプの細胞の配置がさらに固定化された。
あとに続く世代も同じ姿を取りはじめた。
こうして、成長と発生は、多細胞生物のくぐり抜けるプロセスになった。
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引用文献
- DrewI, Liam (2018) : I, Mammal : The Story of What Makes Us Mammals.
- Bloomsbury Sigma, 2018.
- 梅田智世[訳]『わたしは哺乳類です──母乳から知能まで、進化の鍵はなにか』, インターシフト, 2019
「多細胞動物は襟鞭毛虫の群体が起源」
多細胞生物である海綿動物に存在する襟細胞(choanocytes)は、襟鞭毛虫に似た構造の細胞である。
襟細胞は扁形動物など他の動物にもしばしば見られる事から、群体性の襟鞭毛虫が多細胞動物の起源か?
「細胞のコロニーから多細胞へ」は,間違いである。
このようなシステムは,自己複製をつくれないからである:
多細胞全体の複製は,個々の細胞が複製をつくるわけだから,<3次元体の二重化>になる。
この空間処理は,3次元空間では無理である。
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