- 海綿動物の位置づけ (説):
- 多細胞動物は,襟鞭毛虫の群体が起源
- 海綿動物は,多細胞動物の進化のごく初期に分化──最も原始的な多細胞動物
- 特徴
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よく知られた多細胞動物のうちで、最も単純な形をした動物はカイメンです。
カイメンは表面に小さな穴(小孔)をたくさん持っていて、この穴を通して水を吸い込み、浮遊する微生物を濾しとって栄養にしています。
吸い込んだ水は大孔とよばれる口から外に吐き出されます。
体の内部は複雑な部屋に分かれ、その中を水が流れて、襟細胞で濾過します。
ですから、カイメンはとても単純な動物で、せいぜい濾過器といったところです。
カイメンにも生殖細胞、すなわち卵と精子があります。
精子は鞭毛で運動し、水とともにカイメンに吸い込まれて襟細胞に食べられます。
そしていくつかの細胞を経て卵に運ばれて受精します。
カイメンは現在生存している多細胞動物のなかで最も原始的な動物で、組織もなければ、器官もなく、左右の区別もありません。
細胞の種類は 15 種類程度で、細胞間の接着や協調などがほとんど見られません。
カイメンの細胞はまだ単細胞的で、体のどの部位でもすべての機能を果たすことができ、必要に応じて別の細胞に変わりうる普遍細胞がいたるところにあります。
ですから、カイメンのどの一片をはぎ取っても、他の場所に置き換えることができます。
板状動物門に分類されているセンモウヒラムシとともに、海綿動物は原生生物から後生動物に進化する過程で、横道にそれたという意味をこめて、側生動物とよばれています。
それ以外のすべての後生動物が真の意味での後生動物で、真正後生動物とよばれています。」
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(宮田隆『DNA からみた生物の爆発的進化』, pp.86-87)
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- 参考Webサイト
- 参考文献
宮田隆『DNA からみた生物の爆発的進化 (ゲノムから進化を考える1)』, 岩波書店, 1998.
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