Up 「正午」の意味 作成: 2020-11-04
更新: 2021-11-10


    人は,真昼を1日の時刻の基準に定めている。
    これは,人類の歴史の絡みでこうなったというものである。
    真昼は,日出から日入までの時間を二等分する時点 (太陽がいちばん高くなる時点) であり,「南中」と呼んでいる。

    ところが,南中からつぎの南中までの時間は日々変化する。
    こうなるのは,地球の自転軸が公転面の垂直方向から傾いているためである。

    よって,南中基準で時刻を定めたら「時計」が不可能になる。
    人にとっては,「時計」を持てることの方が,基準が明示的であることよりも,ずっと大事である。
    そこで人は,「時計」を持てるために,<平均時>を導入した。

    <平均時>は,どのように定めるか?
    これをここで説明する。


    地球の自転軸と公転軸と太陽の位置関係で,夏至・秋分・冬至・春分がつぎのように定義される:

    夏至・秋分・冬至・春分は,時点であることに注意せよ。
    地球が夏至,秋分,冬至,春分になるのは,それぞれ一瞬である。


    夏至に南中になる地点が,各緯度で1つ(だけ)存在する。
    Pをこれらのうちの一つとする。

    公転周期は,「年」と表現される。
    話を簡単にするために,つぎのように条件設定する:
      夏至から1年の間に,Pの<南中からつぎの南中まで>がピッタリ365回

      註: 実際は,365回プラス1/4回であり,そのために4年に1度閏年を定めているわけである。

    さらに,つぎのように条件設定する:
      1年 = (1時間の24倍) の 365倍

    そして,1時間の24倍を,「日」と呼ぶ。
    こうして,1年は 365日である。

    夏至から<194日と12時間>後の時点を起点にして,1年をつぎのように12の月で区分する:
      1月は31日,2月は28日,‥‥‥,12月は31日

      註: <194日と12時間>の意味は,「夏至の日を6月20日としたとき,それから<194日と12時間>後が1月1日の零時」。


    1日の始まりから12時間後を,「正午」と呼ぶ。


    Pの役割は,つぎのものであった:
    1. 年・日・月を条件づける
    2. 夏至からの公転角度τに対し,各緯度で南中の地点と正午の地点がそれぞれただ一つ決まるようにする
    Pはここでお役御免となる。

    「南中の地点」「正午の地点」を,それぞれ短く「南中点」「正午点」ということにする。

    ここで押さえようとするのは,つぎのことである:
      南中点と正午点は,夏至,秋分,夏至,冬至で一致する。
      そのほかでは,一致しない。


    南中点と正午点の一致・不一致を論ずるためには,つぎの2つを定位する方法が要る:
      • 公転する地球
      • 自転する地球の上の地点

    <公転する地球>の定位は,つぎのように公転角度を定める:

    <自転する地球の上の地点>の定位は,つぎのように緯度・経度を定める:


    以上のように設定したとき,○月○日の南中点と正午点は,つぎのようにして求まる:
    • ○月○日正午を1月1日正午のn日後とする。
      このとき,○月○日正午は夏至から 195 + n 日後。
    • 地球の1日の公転角度は,360/365 度。
      よって,○月○日の正午の地球の公転角度は,360/365 × (195 + n) 度
    • この公転角度に対する南中点の経度が,計算で求まる。
    • 正午点は1年の間に,自転軸の周りを 365回転プラス1回転する。
      プラス1回転は,公転角度のプラス1度に対し正午点経度がプラス1度である。
      ○月○日の正午の地球の公転角度は,360/365 × (195 + n) 度。
      よって,○月○日の正午点の経度は 360/365 × (195 + n) + 270 (mod 360)。

    実際に計算すると,つぎのようになる:
北緯50° の場合
公転角度(τ) 月/日 経度  南中は   
 正午に対し 
 南中   正午 
0 6/20 270 270  一致
5 6/25 275.4 275  1分47秒後
10 6/30 280.9 280  3分30秒後
15 7/5 286.3 285  5分6秒後
20 7/10 291.6 290  6分32秒後
25 7/15 296.9 295  7分44秒後
30 7/20 302.2 300  8分42秒後
35 7/25 307.3 305  9分22秒後
40 7/31 312.4 310  9分45秒後
45 8/5 317.5 315  9分49秒後
50 8/10 322.4 320  9分36秒後
55 8/15 327.3 325  9分6秒後
60 8/20 332.1 330  8分20秒後
65 8/25 336.8 335  7分19秒後
70 8/30 341.5 340  6分7秒後
75 9/4 346.2 345  4分44秒後
80 9/9 350.8 350  3分14秒後
85 9/14 355.4 355  1分38秒後
90 9/19 0 0  一致
95 9/24 4.6 5  1分38秒前
100 9/29 9.2 10  3分14秒前
105 10/4 13.8 15  4分44秒前
110 10/10 18.5 20  6分7秒前
115 10/15 23.2 25  7分19秒前
120 10/20 27.9 30  8分20秒前
125 10/25 32.7 35  9分6秒前
130 10/30 37.6 40  9分36秒前
135 11/4 42.5 45  9分49秒前
140 11/9 47.6 50  9分45秒前
145 11/14 52.7 55  9分22秒前
150 11/19 57.8 60  8分42秒前
155 11/24 63.1 65  7分44秒前
160 11/29 68.4 70  6分32秒前
165 12/4 73.7 75  5分6秒前
170 12/9 79.1 80  3分30秒前
175 12/14 84.6 85  1分47秒前
180 12/20 90 90  一致
185 12/25 95.4 95  1分47秒後
190 12/30 100.9 100  3分30秒後
195 1/4 106.3 105  5分6秒後
200 1/9 111.6 110  6分32秒後
205 1/14 116.9 115  7分44秒後
210 1/19 122.2 120  8分42秒後
215 1/24 127.3 125  9分22秒後
220 1/29 132.4 130  9分45秒後
225 2/3 137.5 135  9分49秒後
230 2/8 142.4 140  9分36秒後
235 2/13 147.3 145  9分6秒後
240 2/18 152.1 150  8分20秒後
245 2/23 156.8 155  7分19秒後
250 2/28 161.5 160  6分7秒後
255 3/6 166.2 165  4分44秒後
260 3/11 170.8 170  3分14秒後
265 3/16 175.4 175  1分38秒後
270 3/21 180 180  一致
275 3/26 184.6 185  1分38秒前
280 3/31 189.2 190  3分14秒前
285 4/5 193.8 195  4分44秒前
290 4/10 198.5 200  6分7秒前
295 4/15 203.2 205  7分19秒前
300 4/20 207.9 210  8分20秒前
305 4/25 212.7 215  9分6秒前
310 4/30 217.6 220  9分36秒前
315 5/5 222.5 225  9分49秒前
320 5/10 227.6 230  9分45秒前
325 5/16 232.7 235  9分22秒前
330 5/21 237.8 240  8分42秒前
335 5/26 243.1 245  7分44秒前
340 5/31 248.4 250  6分32秒前
345 6/5 253.7 255  5分6秒前
350 6/10 259.1 260  3分30秒前
355 6/15 264.6 265  1分47秒前

表作成プログラム