Up 日時計の限界 作成: 2020-10-08
更新: 2021-11-17


    日時計は,公転角度・緯度に依存する。
    同緯度でも,影の向きと時刻の対応が,日に応じて変化する。
    日時計は,実用で考えるものではない。


    特に,太陽が高い場所・時節にはまったく適さない。
緯度30度の夏至の場合
 時  南中との
経度差
南中時の影との
角度
6 -90 NAN
7 -75 NAN
8 -60 -176
9 -45 -130
10 -30 -106
11 -15 -78
12 0 0
13 15 78
14 30 106
15 45 130
16 60 176
17 75 NAN
18 90 NAN


    1. 太陽が高いときは太陽のわずかな移動で影が大きく移動する。
      地平面に垂直に立てた軸に,三角形の板 (頂点をA, B, C とする) を図のようにもたせかける:
      Aを垂直軸につけたまま上下して,∠BOC の大きさの変化を観る。
      Aを下げると,∠BOC は ∠Aの大きさに近づき,Oに至って ∠Aになる。
      Aを上げると,∠BOC は 2∠R に近づき,三角形の背の高さの点に至って 2∠R になる。
      このしくみにより,太陽が高いときは太陽のわずかな移動で影が大きく移動する。

    2. 表中の「NAN (not a number)」は,計算不能を示す。
      実際,∠BOC を ∠A から求める計算式は,∠BAO, ∠CAO それぞれの sin を掛けたものが除数になる。
      この除数は,∠BOC が 2∠R に近づくとき,0に近づく。
      除数が0に近づくと,コンピュータの計算は破綻して,「NAN」を返すことになる。