Up 相対性理論の存在概念:テンソル 作成: 2017-12-29
更新: 2018-01-07


    相対性理論において<存在>になるものは,テンソルである。

    一般に,事物の一般化は,形式化である。
    事物を一般化すると,形式だけになる。
    事物を極めた相は,形式である。
    形式しか残らない。
    そして相対性理論では,<存在>がテンソルになっていくというわけである。

    こうして,相対性理論の理解は,テンソルの理解が核心になる。
    実際,相対性理論が身につくとは,テンソルが身につくということである。


    テンソルとは,「計算式」のことである。

    物理法則は,方程式 equation の形をした計算式である。
    いま,「計算式」という<形式>の主題化を考える。
    これは,数学の「テンソル」という主題になる。

    特殊相対性理論は,慣性系の物理法則の主題化である。
    そこでこれに対しては,「慣性系のテンソル」論の見方が立つ。


    一般相対性理論は,慣性系の物理法則を一般系の物理法則へ一般化しようとするものである。 ──「一般相対性理論」の「一般」は,「慣性系」に対する「一般系」の「一般」である。
    そこでこれは,「一般系のテンソル」論ということになる。

    「一般系のテンソル」は,「慣性系のテンソルを一般系のテンソルに変換」をこれの考え方にする。
    そしてこの「変換」は,つぎをこれの考え方にする:
      <慣性系の座標を一般系の座標に変換>に,<慣性系のテンソルを一般系のテンソルに変換>を乗せる


    既存の物理法則のうち「慣性系の法則」に収まるものは,特殊相対性理論の物理法則 (テンソル) に再構成され,さらにこれを経由して,一般相対性理論の物理法則 (テンソル) に変換される。
    「慣性系の法則」にならないもの──加速度・重力の入った「運動方程式」──は,そのまま一般相対性理論の物理法則 (テンソル) に変換される。──「運動方程式」は「アインシュタインの重力場方程式」になる。


    テンソルの計算は,線型代数である。
    ということは,物理法則の計算は線型代数なのか。
    そうである。

    このことは数の算法を考えてみればわかる。
    数の算法は,
     「 ベクトル計算 (量計算) をスカラー計算に代えられるようスカラーの代数構造を定めれば,こうなる」
    というものである。
    実際,加法は倍の和であり,乗法は倍の合成である。
    加法と乗法の間には分配法則が成り立つが,これはベクトルの線型性の写しである。
    数1は,量の単位に対応している。
    「数を用いて計算する」には,「計算対象を線型構造で考えている」が含意されているのである。