Up | 「コリオリ力」のことばはミスリーディング | 作成: 2022-05-27 更新: 2022-10-29 |
しかしそのような力は,存在しない。 実際,例えば自転円板上の「<内へ+回転方向へ>移動の場合」だと,加速度がつぎのようになった:
ここで,加速度が引き算の式になっている。 なぜ引き算か? 点 \( P \) からの速度 \( \bf{v} \) の移動は,時間 \( \Delta t \) でつぎのようになる: ここでひとが間違いやすいのは (実際,気象学は間違うのだが),加速度を求めるために比較しようとする2つの速度
\( P' \) における移動速度 \( P \) における速度と \( P' \) における速度の比較は,自転円板に固定した観測者による比較である。 観測者にとって,点 \( P,\ P' \) は回転していない。 よって,この観測者が比較する速度は,\( {\bf{v}} - {\bf{w}} \) と \( {\bf{v'}} - {\bf{w'}} \) である。
加速度の式の後ろの項
これに対し前の項
所謂「コリオリ力 (加速度)」は,これを指していることになる。 翻って,「コリオリ力加速度」で留意すべきは,これは単独では存在しないということである。 これは,遠心力加速度を伴う。 そして,遠心力と合わさってきっちり相殺される部分を含んでいる。 こういうわけで,「コリオリ力」のことばは,ひじょうにミスリーディングである。 実際,気象学は「コリオリ力」を間違う。 気象学が「コリオリ力」の導入に「自転円板上の移動」を用いるとき,「自転円板上の移動は,進行方向と直角の力 (「コリオリ力」) を受けて曲げられる」と教える。 単独では存在しないものを単独で存在するものにしているのである。 「コリオリ力──進行方向と直角にはたらいて進路を曲げる力」というものは無い。 これは気象学がつくるフィクションである。 |