Up 「温度」の定義 作成: 2022-06-27
更新: 2022-06-27


    統計力学の「温度」の定義を,わかりやすく説明する。
    「わかりやすく」と言っても,方便の嘘をつくというのではなく,方法のエッセンスを書くということなので,ご心配無く。


    温度を定義する相手は,
      《白玉赤玉が同数個入っている箱を振り,玉を混ぜる》
    である。

    つぎのグラフをつくる:
      変域:箱の左半分に白玉0個,1個,‥‥,全部
      対応:箱の左半分に白玉n個 → これの<場合の数>

    ただし,<場合の数>はとんでもなく大きくなるので,これの桁数に代える。
    桁数を与える関数は,高校数学で勉強した log である:
      箱の左半分に白玉n個 → log(これの<場合の数>)


    このグラフは,つぎの形になる ( エントロピー弾性):
      例えば:
       横軸の0は,「箱の左半分の白玉の数は0」。
       「箱の左半分の白玉の数は0」の場合の数は,1。
       そして,log(1) = 0。

    グラフの頂点は:
      (箱の左半分に白玉赤玉同数,これの<場合の数>の桁数)
    そして,<箱左半分の白玉の個数 : 0〜全部>と<箱右半分の赤玉の個数 : 0〜全部>が対称なので,グラフは対称になる:


    対称は重複している格好なので,グラフの右半分をカットする:

    統計力学は,このグラフの横軸,縦軸の数値を,つぎのように読む:
      横軸の数値は,「熱エネルギー」の数値
      縦軸の数値は,「エントロピー」の数値

    そしてここで「温度」の定義となるのだが,熱エネルギーに対するエントロピーの変化率 (グラフの接線の傾き) が「温度」と定義される。

    こうして,つぎのようになる:
      箱の左半分が白ゼロ (赤全部) のときが,
        エントロピー最小 (ゼロ)
        温度最高
      箱の左半分が白赤同数のときが,
        エントロピー最大
        温度最低 (ゼロ)



    「温度」のこの定義は,つぎを意味する:
      《「白玉赤玉の入った箱を振る」がモデルになる系は,温度を持てる》