Up 「空気の温度」は,机上の論 作成: 2023-05-18
更新: 2023-05-18


    つぎの命題がある:
      《気体分子の直進運動エネルギーの平均値は,絶対温度に比例する》

    直進運動エネルギーは,「1/2 m v2」である。
    よって,現前の空気の温度は,気体分子の平均質量 m と平均速度 v を計測すれば求めることができる。
    ──と,理屈ではこうだが,これはできることではない。


    また,つぎの命題 (「理想気体の状態方程式」) がある:
      (圧力) × (体積) = (モル数) × (モル気体定数) × (絶対温度)
      モル気体定数 ≈ 8.314

    そこで,現前の空気の温度は,圧力と1モル (28.8 グラム) の体積を計測すれば求めることができる。
    ──と,理屈ではこうだが,これもできることではない。

    「空気の温度」は,机上論である。


    何が何でも数値が欲しいときは,気温計を投入し,その数値から「空気の温度」を捻り出すという作業になる。
    気温計が示す気温は,一般に空気の温度とはならないからである。

    「空気の温度」を捻り出すこの作業の内容は,想像と推理によるモデル構築である。
    例えば「熱圏の気温は 2000℃ まで達する」などは,これをやっているわけである。