Up 「計器の精度」は「測定値の精度」ではない 作成: 2023-05-24
更新: 2023-05-24


    言えばあたりまえのことになるが,念のため。

    「測定値の正しさ」は「計器の精度」とは別の話である。
    「計器の精度」は,計器生産工場での計器のチューニングの話。
    「測定値の正しさ」は,「計器Aによる物Bの測定において,Aの計っているものは実際には何か」という話である。


    長さの計器で木の高さを計ろうとする。
    測定値は,計器を木とどんなふうに相対させるかで,違ってくる。
    そして,どこからどこまでを「木の高さ」にするかで,違ってくる。


    気温計の場合,これの計る「気温」は「空気の温度」ではない。
    「気温」は,気温計が拾う放射線の強度 (放射線のエネルギー密度) から導く。
    様々な物が発する放射線が,反射されて温度計に届く。
    気温計が拾っている放射線は,これである。

    都会の気温は田舎の気温より高くなるが,気温計に届く反射光が都会の方が田舎より多くなることが,これの理由である。
    限られた進行方向の放射線だけを温度計が拾うようにしても,反射が重なればその方向から入ってくる散乱線がある。
    都会は,この「反射が重なる」が多くなるのである。