Up 「横波・縦波」の位相 作成: 2020-03-07
更新: 2020-03-07


    「横波・縦波」は,媒体の運動が現す波である。
    その運動は,媒体を点集合と見たときの,点の往復運動である。
    即ち,横波は,点の往復運動の方向と波の進行方向が垂直の場合。
    そして縦波は,平行の場合である。
      波には,電磁波のように媒体がない波──媒体不明?──もある。
      電磁波)

    ひとが「波形」としてイメージするのは,横波の波形である。
    水面の波紋や,長い紐の一方の端を上下振ってできる波の形が,これである。
    縦波はバネの振動に見られるが,これが「波形」のイメージにならないのは,絵にしにくいからである。


    空間に座標を入れる。
    座標zの点の,時間t (起点の時刻から時間t後) の位相xを,つぎのように定める:
      静止状態においてzに位置する媒体 (点) が,
      いまzから隔たっている距離

    このとき,つぎの二つのグラフが導かれる:
      • t-x グラフ (z固定)
      • z-x グラフ (t固定)
    さらにこの二つのグラフを合わせて,(z,t) -x グラフを得る:

    t-x グラフ,z-x グラフは,ともに,横波の波形のようになる。
    そしてこれが,学習者を混乱させるもとになる。
    即ち,つぎのように:
      横波の位相グラフの場合:位相グラフを波形のグラフだと思う
      縦波の位相グラフの場合:位相グラフの意味がわからない

    実際,位相グラフの理解は,つぎの捉えが要所になる:
    1. 位相が,時空間の点に対応するもの──時空間の点の関数──であること
    2. 位相の定め方は,一通りでないこと
    3. 「横波・縦波」の場合は,つぎの二つの区別:
      • 空間の点
      • 空間の中を動く波媒体 (点集合) の点