Up 進化 : 要旨 作成: 2019-07-05
更新: 2019-07-05


    「進化」のことばは,生物進化の論の中に出てくるのがふつうである。
    しかし「進化」は生物に限るのではない。
    自然の中の系は変化する系であり,そしてその変化は「進化」である。

    一方,生物の「進化」は,非生物のそれとは自ずと違うふうになる。
    生物は繁殖を自己目的化した存在である。
    繁殖を実現せねばならない生物においては,自分の位相に有利・不利が出てくる。
    不利な位相に対してはこれに抗い,有利な位相に向かおうとする。
    この生物特有のダイナミクスが,生物の進化を独特なものにする。

    即ち,生物の進化は,「自然選択」がこれの形になる。
    生殖のメカニズムは,個を多様化するものになっている。
    個の多様性は,同種の中で,生き方の多様性を現す。
    生き方の多様性は,成功者と失敗者の別を現す。
    失敗者は舞台から消え,成功者が残る。
    これが種の進化になる。

      「成功者・失敗者」は,「強者・弱者」でないことに注意せよ。
      自然選択の内容は,「優勝劣敗」ではない。
      自然選択は結果論である:「勝ったのは運が良かった者,負けたのは運が悪かった者」