Up 多細胞生物の出現 作成: 2019-10-09
更新: 2019-10-09


    単細胞生物から多細胞生物が導かれてくるプロセスは?

    多細胞生物の始原は,<雑多な単細胞生物のコミュニティー>ではない(註)
    このようなシステムは,自己複製をつくれないからである。

      多細胞全体の複製は,個々の細胞が複製をつくるわけだから,<3次元体の二重化>になる。
      この空間処理は,3次元空間では無理である。

    したがって始原は,<(2個体への分裂ではなく) 自分の中で収まる細胞分裂を兆し始めた単細胞生物>である。
    この「細胞分裂の兆し」の内容は,DNA の複製である。

    一個体の中の細胞分裂は,《細胞が使用する DNA サブストリングを,細胞ごとに違える》を可能にする。
    これは,機能別細胞 (機能分担型細胞) の実現である。

      多細胞生物の発生プロセス──これは1個の細胞から始まり,分裂によって多細胞になるのみ──は,単細胞から多細胞への進化プロセスを示している。


    註.  つぎは間違いである:
       DrewI (2018), pp.132,133.
    生物の多細胞化は、根元的な変化だった。
    共同体を構成する細胞が専門化しはじめ、それぞれの細胞がめいめいの仕事で公益に貢献するようになり、協調が競争に取って代わったのだ。
    意味のあるかたちでくっつきあった、最初期の細胞集団を思い浮かべてみてほしい。
    それはほとんど無定形のかたまりで、細胞たちは寄り集まることから単純な利益を得ていたのだろう。
    その状況で、集団を構成する細胞がそれぞれ異なる仕事を引き受けるようになるのは想像にかたくない。
    おそらく、外側にいる細胞は、内側にいる細胞よりも少しだけ頑丈になっただろう。
    そして、頑丈になるという義務から解放された内側の細胞は、その代わりに外側の細胞のためになることをしたのではないだろうか。
    たとえば、なんらかの代謝機能をより効率的にこなすようになる、とか。
    おそらくはじめのうちは、その集団はまったくの無秩序状態だったにちがいない。
    特定の細胞が外側に行くようにプログラムされていたわけではなく、たまたま外側にいた細胞がなりゆきで頑丈になっただけだろう。
    だが、時とともに発生の様式が進化し、しだいに厳密になっていった。
    細胞のアイデンティティ──すべて同じDNAを持つクローンで、その特性はどの遺伝子のサブセットがオンまたはオフになるかで決まる──は、より固定的なものになったはずだ。
    細胞間の信号伝達がはじまり、さまざまなタイプの細胞の配置がさらに固定化された。
    あとに続く世代も同じ姿を取りはじめた。
    こうして、成長と発生は、多細胞生物のくぐり抜けるプロセスになった。

    引用文献
    • DrewI, Liam (2018) : I, Mammal : The Story of What Makes Us Mammals.
      • Bloomsbury Sigma, 2018.
      • 梅田智世[訳]『わたしは哺乳類です──母乳から知能まで、進化の鍵はなにか』, インターシフト, 2019