Up 科学の存在論のスケール : 要旨 作成: 2019-05-28
更新: 2019-05-28


    哲学の存在論がどれほどのものかをはっきり示してくれるのが,科学の存在論のスケールである。

    哲学の存在論は,哲学者が独り机に向かい「ここにコーヒーカップがあるが,さてこれは‥‥‥」のような論をつくる。
    科学の存在論は,今日ではスケールが下はニュートリノの 10−18 m から上は宇宙空間の 1027m にわたる。
    このスケールの存在の探求は,人海戦術になる。
    無数の科学者が携わって醸成されてくるのが科学の存在論である。

    科学の存在論は,存在階層論をこれの形にする。
    《あるスケールの個の系は,一段上のスケールの個になる》というものである。( 『「系-個」存在論』)

      これを「存在の真実」と言うのは憚られる。 一応「探求の都合による」と言っておく。 ──実際,巨大なスケール巾の存在は,スケールを区分して探求するのみである。

    哲学でも,「量から質への転換」を言ったヘーゲルは,存在階層を見ていたことになる。
    ヘーゲルの存在論 (「弁証法」) は進化論的であるが,存在に進化を見る眼は,存在を変化として見る眼として,存在に階層を見る眼と通ずるわけである。