Up 宇宙の空間構造 : 要旨 作成: 2019-06-18
更新: 2019-06-18


    ひとにとって物が現れるためには,容れ物が要る。
    絵が,紙やキャンバスを要するようにである。

    このときの物と容れ物は,異種の存在である。
    この二つの存在は,観念において別々にできる。
    例えば数学において,これができる。

    <物を現すのに容れ物を用いる>の数学は,「埋め込み embedding」である。
    <日常>は,三次元ユークリッド空間に埋め込まれた(てい)で思念される。

    しかしこの慣用は,宇宙科学には通用しなくなる。
    宇宙の存在身分がわからなくなるからである。
    宇宙を「星と空間」にすると,「その空間は何だ?」になる。

    宇宙科学の方法論は,《物だけにする──「容れ物」の考えを退ける》である。
    アインシュタインの一般相対性理論は,これをやっていたことになる。
    宇宙は,リーマン多様体の如くになった。
    「リーマン多様体」とは何か)

    ただし現前の宇宙科学は,《物か容れ物か》の論点をあっさりやり過ごしているふうである。
    「宇宙の年齢」だの「宇宙の大きさ」だのと,絶対メジャーをいけしゃあしゃあと用いる。

    これで構わないのは,科学とは《お互い構わなければ,それでよい》というものだからである。
    科学は,厳密・厳格な論理で己を律しているのではない。
    科学が従っているのは,その時々のパラダイムである。