Up 「木」 と 「樹」──どっち? 作成: 2025-04-22
更新: 2025-04-22


    「樹」の字は,象形文字としてつぎのように分析される:
   直立する楽器(たいこ)の象形
 → 「直立」の意
   手の象形を加える
 → 「直立させる」の意
   木の象形を加える
 → 「木をうえる」の意

    「樹木」は,「木を()える」と読む。
    自然の木を「樹木」と呼ぶのは,したがって間違いである。

    今日,「樹」の字を「木をうえる」の意味で用いることはない。
    また今は,「うえる」は「植える」と書く。
    「樹」の字の出る幕は,今は無いというわけである。
    しかし,自然の木を指して「樹木」と呼ぶ誤用が,学術界をはじめとして,すっかり定着している。


    しかも,つぎのようなトンチンカンなことを言う「ことば」サイトがあったりする:
      "「木」は死んだ木に対しても使われるところの総称であり,
      「樹」は生きている木にしか使われない"

    また,この言い方には,「木」をそもそもわかっていないことが表れている。
    ひとが「生きている木」として見ているものは,生きているアリに対するアリ塚の方である。
    アリ塚には,死んだも生きているもない。

      木で<生きているアリ>に相当するものは,生きている細胞である。
      その細胞が見えるのは,葉。
      その他の細胞は,<塚>の中に入っていて見えない。


    昨日 (2025-04-21), 「常緑針葉樹の稚樹は雪の中で死ぬ」を書いたのだが,「常緑針葉木」 「稚木」が使えるのなら「常緑針葉の稚は雪の中で死ぬ」としたいのである。