Up 学長強権は,「法人化」執行部の含意 作成: 2009-06-26
更新: 2009-06-26


    「法人化」の国立大学は,学長強権 (「学長の強力なリーダシップ」) で運営されねばならないと定められた。 実際,強権は,「法人化」執行部の要件になる。
    この強権の人格化が,学長である。

    「法人化」執行部が強権を必要とするのは,「法人化」が強権を以てしなければ行えないものだからである。
    「法人化」は,なぜ強権を以てしなければ行えないのか?
    それが不合理なものだからである。 (「法人化」の施策の中身は,アメリカの流儀を直接取り入れることであり,そしてこれは,木に竹を接ぐ行為となる。) そして,不合理を通す方法は,有無を言わせない強制である。

    「法人化」の中心に「学長の強力なリーダシップ」を据えた行政の判断は,この意味では,当たった。
    もっとも,行政が「学長の強力なリーダシップ」を用意した意図は,「有無を言わせずに不合理を通すための強権」ではもちろんない。 「民間」が「善」の意味になった時代風潮に乗って,「企業トップのリーダシップ」を「学長の強力なリーダシップ」にうつしたのである。

    ちなみに,行政は,自分たちが何をやってしまったのかが,いまもわかっていないように見える。
    国立大学の「法人化」で起こることは,国立大学の民間企業化ではない。 国立大学が中央指導の官僚体制国家のようになるのである。