Up 『「意向投票」と「学内の有資格者」』(2007-05-08) の撤回 作成: 2007-05-14
更新: 2007-05-14


    本日,『今回の学長選考規則改正の制度的意味』(石井, 2007-05-08) を読んで,わたしの先の 『「意向投票」と「学内の有資格者」』(2007-05-08) の方法が根本的に誤っていることがわかった。 したがって,それを先ずはここで撤回する。


    この度,直近の学長選考を控え,『国立大学法人北海道教育大学学長選考規則』の内容が一部変更された (『国立大学法人北海道教育大学学長選考規則の一部を改正する規則』)。
    変更内容は,「意向投票」の投票者に学長・理事を加えるというものである。

    石井論文はこの変更の意味 (logical implication) を,明らかにしている。
    その法解釈の論理をチェックしてみたが,妥当である。


    ここで,ついでとして,石井論文の趣旨をわたし流に雑駁にパラフレーズしてみる:

      「投票する」には,
        「一投票者になる」(「投票者」という身分しかない場に入る),
        「投票結果 (多数決) を受け入れる」
      が含意される。 (知事選挙で現役知事が投票するとき,彼は「投票者」の身分しかない場に入る。そして自ら投票するとは,「投票結果 (多数決) を受け入れる」ルールに従うということである。)

      学長・理事を「意向投票」の投票者に加えたということは,「投票結果 (多数決) を受け入れる」ルールに従う者の中に学長・理事を加えたということである。
      同時にこのことは,「意向投票の結果 (多数決) を受け入れる」が大学全体のものになったことを意味する。 ──そしてこの「大学全体」には,学長選考会議のメンバーも含まれている。
      すなわち,「意向投票」は自動的に,「これの多数決で学長が決する投票」すなわち「学長選挙」そのものになる。

    緻密な論理は石井論文にあたられたい (このパラフレーズでは「学長選考会議」を簡単に過ごしているので,特に「学長選考会議」の論理的同定の箇所を) 。