http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/17/09/05092701/001.htm

国立大学法人・大学共同利用機関法人の
平成16年度に係る業務の実績に関する評価について
平成17年9月16日
国立大学法人評価委員会
委員長 野依 良治

 国立大学法人評価委員会は、昨年10月に定めた「国立大学法人及び大学共同利用機関法人の各年度終了時の評価に係る実施要領」に基づき、国立大学法人及び大学共同利用機関法人(以下、国立大学法人等」)の平成16年度に係る業務の実績に関する評価(以下、「年度評価」)を、この度行いました。
 今回の年度評価は、国立大学法人等の法人化後初めて行われるものであり、各法人が行う教育研究の特性や法人運営の自主性・自律性に配慮しつつ、国立大学法人評価委員会において、平成16年度における各法人の中期計画の実施状況について、国立大学法人等の業務実績報告書や財務諸表等を基に、計画の実施状況及び法人の自己評価や計画設定の妥当性も含めて総合的に検証し、評価を行いました。

 各国立大学法人等においては、学長・機構長のリーダーシップを発揮する運営体制の整備や、法人としての経営戦略の策定、戦略的な資源配分の実施等の面で、特色ある取り組みを進めているなど、全般的には、法人化を契機として、あるいは法人化のメリットを活かして改革に積極的に取り組んでおり、法人化初年度の限られた時間の中で、法人としての経営基盤を確立し、中期計画を順調に実施していることを高く評価します。今後、各国立大学法人等が、事務の合理化や適切な人件費管理等の面でも引き続き努力していくとともに、各事業についてのコスト分析や事業の企画・実施に際しての財政的検討の充実及びこれらを踏まえた外部資金の獲得やコストの節減についても取り組みを進めていくことを期待します。

 一方、法人としての運営・経営の確立という面において、準備段階・検討段階にとどまっているなどの課題のある法人も見られ、当委員会としては、各国立大学法人等の特筆すべき取り組みについては積極的に評価を行いつつ、課題を有する事項については、次年度以降の改善すべき点として指摘を行いました。各法人においては、当委員会の評価結果を踏まえ、改善すべき課題を的確に認識し、今後の取り組みに活用されることを期待します。

 国立大学法人評価については、各国立大学法人等の継続的な質的向上に資することを目的とするほか、評価に関する一連の過程を通じて把握した国立大学法人等の状況を分かりやすく示し、社会への説明責任を果たすことも求められております。当委員会としても、この期待に応えるべく、個別の法人の評価とは別に、国立大学法人等全体の改革への取り組み状況に関して、「国立大学法人・大学共同利用機関法人の改革推進状況」をとりまとめております。

 今後、各国立大学法人等においては、国立大学法人制度により設けられた経営協議会や理事・監事等の外部有識者の意見を活用する制度の充実も推進しながら、今回の評価結果等を踏まえ、法人運営等の一層の改善・充実を図り、我が国全体の高等教育及び学術研究の発展に向けて、教育・研究活動の更なる活性化が図られることを強く期待します。

 なお、国立大学法人評価については、評価結果が各法人の業務運営に活用されることが重要であるとともに、評価の在り方自体も改善を加えていくことが必要であり、当委員会としても、今回の年度評価の在り方等について検証しつつ、例えば、財務諸表の更なる活用や国立大学法人の附置研究所等の全国共同利用に関する評価の充実等、次年度以降の評価の充実に向けて検討を行っていくことが重要であると考えております。